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2016 年度 実績報告書

近代の城下町都市における文化的景観形成の思想と計画技術

研究課題

研究課題/領域番号 16H04469
研究機関筑波大学

研究代表者

野中 勝利  筑波大学, 芸術系, 教授 (40302400)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード都市計画 / 景観 / 城下町
研究実績の概要

本研究はわが国固有の都市基盤である近世城下町を起源とする城下町都市の明治以降の都市づくりを文脈的に解釈し、その延長上で計画論へと応用する方法論を確立しようとする構想である。そこで歴史的環境を基盤とした文化的景観における継承、破壊あるいは創出の観点から空間履歴、空間利用および議論から近代都市づくりの思想と計画技術を、価値化と評価を切り口として解き明かすことを目的としている。その目的を達成するため以下の3点について研究を進めた。
第一に天守の「利用」からみた文化的景観形成の思想について分析を進めた。藩政期から残る天守が、近代において内部が公開されたケースにおいて、当時の都市社会や市民生活上の意義を検討した。例えば和歌山城址では建物がシロアリの被害を受ける一方、物産陳列場の一つとして近代の産業化の一端として利用されていたことが明らかになった。
第二に城址の「公園化」における文化的景観形成の思想と計画技術について分析を進めた。城址公園において城址が有する歴史的風致の取り扱いの観点から公園の設計や整備等について検討した。明石城址では公園管理者が変遷し、段階的に濠が埋め立てられるなど、歴史的風致の滅失の過程を明らかにした。和歌山城址では公園設計において歴史的風致の一部毀損が含まれ、それに対する議論が勃興した経過、また公園整備においてその毀損が回避された経過を明らかにした。
第三に橋の架け替えにおける文化的景観創出にみられる思想と計画技術について分析を進めた。藩政期において城下町の中心だった橋を対象に近代の架け替えの経過と景観形成について資料収集を進め、その分析の枠組みを検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

資料調査や景観調査において同一対象地で効率的に行うことができた。

今後の研究の推進方策

これまでの研究成果をもとに、調査方法や研究の枠組みを効果的に組み立て、他の研究対象事例に応用して効果的な手法により研究を推進する。特に天守の「利用」や城址の「公園化」において、事例間の時系列化による相関性を分析し、近代化における文化的景観形成の意義を検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 近代の明石城址における公園管理主体の変遷とその背景2017

    • 著者名/発表者名
      野中勝利
    • 雑誌名

      ランドスケープ研究

      巻: 80-5 ページ: 413-418

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 近代における兵庫県による明石公園の拡張・整備と風致の位置づけ2017

    • 著者名/発表者名
      野中勝利
    • 雑誌名

      都市計画報告集

      巻: 15 ページ: 216-223

  • [雑誌論文] 兵庫県による御料地の公園化に対する評価と公園整備の政策的位置づけ2016

    • 著者名/発表者名
      野中勝利
    • 雑誌名

      都市計画報告集

      巻: 15 ページ: 168-175

  • [学会発表] 城址の公園化と風致、模擬天守閣と景観2016

    • 著者名/発表者名
      野中勝利
    • 学会等名
      遺跡整備・活用研究集会
    • 発表場所
      奈良文化財研究所・奈良県・奈良市
    • 年月日
      2016-12-16
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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