研究課題/領域番号 |
16H04473
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神吉 紀世子 京都大学, 工学研究科, 教授 (70243061)
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研究分担者 |
小浦 久子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (30243174)
工藤 和美 明石工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40311055)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 動的オーセンティシティ / 文化的景観 / 計画体系 / 国際共同研究 / フィールドスクール / インドネシア / ドイツ・ルール地方 |
研究実績の概要 |
平成29年度は研究代表者・分担者全3名が中心となって日本建築学会大会研究集会を開催した。ドイツ、インドネシア、日本からパネリストを迎え、都市設計、民俗文化、地域主体、芸術、建築設計の各観点からの文化的景観保全に関する実績を学び、多角的な地域評価を文化的景観の進化的保全において統合できるよう横断的ディスカッションを行った。特にこれまで十分には学術的評価を導入できていなかった、しかし実際には文化的景観保全地域で盛んに行われている、芸術活動・創作活動に対する客観的議論の論点を得ることができた。これに伴う資料集も発行し、通常の同学会研究集会に比べ若い年齢層の論考が寄稿され議論の発展への期待を知ることができた。 ドイツ・ドルトムント工科大学との共催で京都市伏見区深草を対象として、都市化・工業化の縮小転換を背景とした文化的景観の進化的保全具体策を扱うフィールドスクールを開催した。国内で1週間規模のフィールドスクールを開催したのは、本研究組織のこれまでの履歴の中で初である。これについてもドルトムント工科大学側と共同で報告書を発行した。なお平成30年度に引き続きドイツ・ルール地方でスクールおよび研究集会が開催される予定である。 インドネシア・バリ島でのフィールドスクールもこれまでの毎年に引き続き参画し、今回は特に、地域要望のある博物館計画への提案をサブテーマとすることができ、計画体系化のうちの地域アジェンダ立案の段階についての経験を得られた。なお、このスクールの直前には、インドネシア側の研究協力者が主催し、各国ナショナルトラスト組織の集合する国際会議をこれまでのフィールドスクール活動をふまえて開催されている。ボロブドゥールでは協力先の事情がありスクールは今年度開催しなかった。 以上に加え、国内・国外で事例調査を数箇所行い、今後の進捗のための情報収集、事例調査の成果発表にも努めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、主としてインドネシアでのボロブドゥールでの経験をいかした形式のフィールドスクール、国内での2日間の短期フィールドスクール等を通じて研究を進めてきたが、平成29年度にはドイツとの協力により新たなプログラムの国際フィールドスクールを実現でき、さらには、多角的な論点からのディスカッションを行う国際研究集会を開催することができたことから、計画体系化に必要な論点の拡がりを学術的議論を通しつつ得られたこと、論点に応じた実際的な情報収集がよく進んだと考えている。研究期間の半ばにあたるが、今後、計画体系化のアイデアを再整理しつつ、大都市市街地等の未着手の事例をいかに扱うかなどの未達成部分への対応方法も検討しながら今後のフィールドスクール活動を企画するなどで、概ね順調に進めていくことができると判断している。したがって、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究集会やフィールドスクールの開催・実施・参加には、かなりの作業・労力が発生する時期が生じることから、そのとりまとめ等には補助してもらうための人件費が必要になった。これから研究機関の後半に入ることから、とりまとめ等への労力配分の点等もよく考えて、計画的に成果発表・フィードバックの獲得などをしていけるように、スケジュールをたてていきたい。
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