研究課題/領域番号 |
16H04474
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿部 浩和 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (20346125)
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研究分担者 |
宮川 智子 和歌山大学, システム工学部, 教授 (30351240)
黒瀬 武史 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (50598597)
保高 徹生 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究員 (60610417)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 都市・地域計画 / 行政・制度 / 土壌・水環境 / 環境保全 |
研究実績の概要 |
本研究は人口減少とそれに伴う社会の縮退化のコンテキストを背景として環境汚染を内包する産業ランドスケープのGI化のための新たなプラットフォームを確立することを目的としている。本年度は欧米諸国と日本の主要都市周辺地域における産業ランドスケープのGI化の事例とそれに派生するプロジェクトをリストし、その中から英国チェシャー州ノースウィッチウッドランズとドイツNヴェストファーレン州エッセン市周辺、米国ミシガン州デトロイト市、日本の大阪湾臨海部における再生プロジェクトを取り上げ、それぞれの取り組みとGI化のための制度上のフレームワークについて調査を行った。中でも維持管理に関して欧米諸国では複数の関係者によるパートナーシップを形成することで多様な資金源と人員を確保していること、空洞化した土地を近隣住民に無償で譲渡することによって自立的に維持管理する仕組みが成立していることなどGIの整備に係る重要な手がかりが得た。 また環境汚染に対するリスクガバナンスに関して、日本と欧米諸国の土壌汚染対策の実施経緯と除染地再生のためのリスク評価手法を分析することで、英国やオランダでは一律の基準と同時にその土地固有のリスク評価とリスク管理を行なっていること、土壌汚染地の住民への情報開示は米国、英国では制度化されており、説明会の実施や住民へのコンサルテーション、住民参加の制度が一般に整備されていることなどの知見を得た。また福島の避難指示解除準備地域における住民帰還に向けた取り組みの一環としてGI をベースにした持続可能な再生方策の検討を行った。その中で住民との放射能汚染対策の情報共有を行い、里山の再生と農作物の栽培等によるライフサイクル回復の実践を通して、環境汚染に対するリスクマネジメント方策を探るとともに、復興に向けたまちづくりについてのワークショップを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度は「GI化のための制度上のフレームワーク」と「環境汚染に対するリスクガバナンス」に関して、日本と欧米諸国における産業ランドスケープのGI化事例の整理と代表事例の現地調査を行うとともに、福島でのワークショップ等を実施できた。またその成果は国内外の研究者を交えた研究会で議論するとともに、国際会議等において発表しており、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き、欧米諸国と日本における代表事例を取り上げ、以下の2つの研究課題、①産業ランドスケープの文化的再生戦略、②官民連携と住民参加のメカニズムに関して調査を行い、国内外の研究者と連携して研究を進める。特に工業衰退地に残存する産業遺産の活用や文化芸術活動を含めたGI 化戦略についても検討するとともに、政府や公的機関と民間事業者が果たす役割について具体的な調査を進めていくこととする。
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