研究課題/領域番号 |
16H04483
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
上北 恭史 筑波大学, 芸術系, 教授 (00232736)
|
研究分担者 |
藤田 香織 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20322349)
稲葉 信子 筑波大学, 芸術系, 教授 (20356273)
清水 重敦 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (40321624)
花里 利一 三重大学, 工学研究科, 教授 (60134285)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ウクライナ / 木造教会堂 / ルーマニア / 校倉造 / リヴィウ / 保存 / 解体修理 / ポテリッチ |
研究実績の概要 |
東欧に残る木造教会堂の調査として、ルーマニアのマラムレシュ地方の木造教会堂を調べた。教会堂の管理人、ルーマニアの修復建築家からのヒアリングによれば、社会主義時代の60年代に多くの教会堂の土台をモルタルで補強した、という。実際、プロピスにある修理中の聖大天使教会堂の床下にモルタルで固めた古い布基礎が確認された。この古い布基礎は手で容易に砕けるほどもろく、その強度はほとんどない。しかしながら多くのルーマニアの木造教会堂の基礎をモルタルで補強したということは、斜面に建つ木造教会堂の地すべりへの対策と思われる。ルーマニアの修復建築家が手がけた木造教会堂の場合、地すべりも確認されたがモルタルによる補強は過去に入れられておらず、なるべく当初の状態を維持するために土台への補強をせずに修理を行ったという。マラムレシュはポーランドやウクライナのように冬季はそれほど厳しい気温まで下がらない。しかしながら降雨量は多いため軟弱地盤への対処が必要と思われる。 傾斜地に建つ木造教会堂は一般に玉石で積まれた基礎を持ち、玉石を充填しながら土台面の高さを調整する。また必要に応じてログ(校倉)をジャッキアップし太い校木に入れ替える。ウクライナでも人力で持ち上げる伝統的な工法があるため、古くから行われてきた対処法と思われる。壁構造の校倉は本来丈夫な構造であるが、地盤傾斜に対しては都度対応を迫られる。校倉の躯体が大きく傾かなければ強固であるが、地盤が流れると校倉の水平材同士の接合面が開いたり、水平を保てなくなったりする。校倉の壁体が動き始めると全体のバランスを崩し、内部に補強材を入れる場合もある。ウクライナのポテリッチにある世界遺産聖神降臨聖堂教会堂は、長年にわたる地すべりのために建築物そのものに大きな変形を受け、内部に柱梁の補強材を入れている。これはすでに土台下の玉石の補強では調整範囲を超えていると思われる。
|
現在までの達成度 (段落) |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|