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2017 年度 実績報告書

近世指図の作図技法・描法の展開に関する研究Ⅴ‐建地割編年指標の再検討‐

研究課題

研究課題/領域番号 16H04485
研究機関熊本大学

研究代表者

伊東 龍一  熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (80193530)

研究分担者 斎藤 英俊  京都女子大学, 家政学部, 教授 (30271589)
吉田 純一  福井工業大学, 工学部, 教授 (40108212)
後藤 久太郎  宮城学院女子大学, 学芸学部, 名誉教授 (50086104)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード建地割 / 江戸時代 / 作図技法 / 描法 / 指図
研究実績の概要

最大の成果は叡山文庫所蔵の建地割33葉の調査である。建地割に描かれる建物は根本中堂、文殊楼、鐘楼堂などである。料紙はいずれも楮紙で、裏打ちされていて不明な場合もあるが、紙厚は0.15~0.23mmと薄い。これらのうち、19点については同じ建物を描く3葉の図がセットとなった5セット、本来はあったと想像される3葉のうち1葉を欠く2葉のセットが2セットある。3葉のセットは次の(а)~(c)の図からなる。
(a)作図痕が多く裏打ちがある図、(b)作図痕が多く、裏打ちがある図、(c)作図痕が無く裏打ちされている図である。
作図痕は屋根や柱芯や組物を描くためのヘラ筋や針孔である。裏打ちは料紙の補強であるから建物の内容の検討が終わった清書や提出用の図に用いられるとみられる。これらを、その内題に注目すると(a)の図は「根本中堂之絵図」のように簡略に建物名だけを記している。しかし、(b)や(c)の図は内題が「大猷院様御建立 根本中堂之地割 廿分之一 梁行北妻」のように同じ建物を描く図でありながらやや詳しく、縮尺や断面の方向なども記す。また、とくに(a)は作図痕が多く、(b)・(c)と比較すると、軸部の高さ寸法においても異なっているものがあり、計画の内容の検討時の図であることが考えられる。以上からすると、①は下書き、あるいは内容検討時の図、②は清書、③はヘラもないので②を写しただけの図であるから、提出用あるいは保存用の図であろう。これまでのヘラ筋等の作図痕がある図が施工につながる計画の図、いわば本物の図で、作図痕の無い図は、その写しに過ぎない、本物に対して価値の低い図であろうという考え方が見受けられたが、その見方に修正を迫る成果である。
上記の19葉以外の図には、享保5年、文政11年等のなどの年紀のあるものもあるが、なかには19葉と同様の作図痕をもつものもある。各図の作成年代については、慎重に検討したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

単に作図技法・描法の調査を実施することは可能であるが実施により、建物を建てる際における建地割という図のもつ役割が予想と若干の異なる結果が出たこと、および建地割以外の高さ寸法を示す図との関係について、調査結果の解釈と理解に時間を要したため。

今後の研究の推進方策

上記の検討結果により、概ね当初通りの計画を進めてゆけば良いとの結論に達したので、調査のペースを速め、それと同時に分析を並行して進めるということで研究の遅れを取り戻す方策になりうると考える。

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公開日: 2019-12-27  

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