研究課題/領域番号 |
16H04491
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福永 俊晴 京都大学, 原子炉実験所, 名誉教授 (60142072)
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研究分担者 |
小野寺 陽平 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (20531031)
森 一広 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (40362412)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中性子散乱 / 構造解析 / 蓄電池材料 / X線回折 / 伝導特性 / 固体電解質 / イオン伝導経路 / イオン伝導体 |
研究実績の概要 |
本研究では、「蓄電池の中の伝導イオンの位置と伝導経路の解明、そして充放電中の時間的構造変化を調べ、電池特性との関連性を明らかにする」ことを目的としている。今年度は、全固体電池ならびに革新電池を意識して、LiイオンのみならずFイオンの伝導に関しても研究を行っている。それらの研究は中性子回折、中性子準弾性散乱に関する実験を中心に進めている。イオン伝導経路の解明は、結晶においてはMEM法、乱れた結晶やガラス状態の固体に関しては我々が開発したBVS法を用いて行っている。乱れた結晶やガラス状態における原子配列の解明にはRMC法を用いて行っている。特に、今年度から革新電池の研究を重点的に行っており、次世代型革新電池材料として着目されているフッ素系イオン伝導材料の研究を全散乱実験、回折実験を用いて実験を進行させている。また現在、Operanndo実験のための電池を組み、実験を開始している。一つの成果として、PbSnF4イオン伝導材料の研究ではその構造を解明し、そのイオン伝導経路を明らかにしてきており、Fイオンの伝導は原子の欠陥を介在として行われ、その伝導経路はある結晶面を経由していることを示し、投稿論文とした。BaLaF系のイオン伝導材料ではBaF4の結晶構造を明らかにするとともにBa0.6La0.4F2.4の結晶構造を明らかにし、その結晶構造にはBaF2には見られない格子間サイト上にフッ素イオンが存在し、Ba0.6La0.4F2.4のF(1)サイトに27%程度の欠損(空孔)が存在することを明らかにし、その欠損がイオン伝導経路になっていることを明らかにしている。一連の研究として、コンバージョン電池の研究も開始し、論文を1件投稿済みで、そのほか、3件の論文が投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでのLiイオン電池関連の研究のみならず、次世代型革新電池(アニオン型、カチオン型)の研究も開始し、一定の成果として2件の投稿論文とするとともに3件の投稿中の論文もあり、研究は計画以上に進んでいるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Liイオン系を対象とする全固体電池のみならず次世代型革新電池(アニオン型、カチオン型)に関しても研究を速やかに展開したいと考えている。同時に充放電中(operanndo)の組織(結晶)の変化や、イオン伝導経路の変位に関しても明らかにするなど、高度な実験計画、高度な解析システムの構築などを推し進めていきたいと考えている。
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