研究課題
大強度陽子加速器施設 物質・生命科学実験施設(J-PARC MLF)に建設した特殊環境中性子回折装置SPICAを使って、革新型蓄電池の研究を行った。その研究成果として中性子回折データと放射光X線回折データを併用し、結晶系ではリートベルト解析により構造解析を行い、さらにマキシマムエントロピー(MEM)法により、イオン伝導経路を精密に可視化した。また、歪んだ系では、構造因子S(Q)を導出し、PDF解析を行うと共に、逆モンテカルロ(RMC)モデリングを行い、原子配置を精密に可視化する。その後、Bond Valence Sum(BVS)法を応用し、歪んだ結晶や非晶質でもイオン伝導経路を可視化できるBVSイメージングを開発し固体電解質のイオン伝導経路を可視化を行っている。ここ1年間は、フッ化物イオン導電性固体電解質に着目し、解析を行ってきた。例えば、Ba0.6La0.4F2.4の構造解析では、リートベルト解析によりその結晶構造を明確にすると共に、フッ化物イオン(Fイオン)伝導経路をマキシマムエントロピー(MEM)法により可視化した。その結果、本系が準格子間拡散をベースとする拡散機構によってFイオンが伝導経路内を移動することを明らかにすることができた。本成果は2020年3月27月の科学新聞に掲載された。同時に応募者は、同装置の回折データからFイオンの乱れの分布(局所構造)も可視化できる解析ツールを開発した。さらに、実電池のoperando実験を行い、その結果を着実にまとめつつある。この様な原子構造の解明や、イオン伝導の経路の解明のみならず、X線分光法を用いて、実電池の劣化状態の解明にも取り組んだ。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件)
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