研究実績の概要 |
LPSOを形成する既知の合金系(Mg-TM-RE)の液体急冷材を利用した相転移初期キネティクスの実験的解明を放射光を用いて進める。組成および合金元素の効果を調べることにより、クラスター形成と高次クラスター配列秩序(LPSO)形成の関係の一般則の観点からの理解を試みた。 」1)放射光その場散乱回折測定法の高度化Mg85Y9Zn6合金(18Rストイキオメトリー) 合金で成果が得られた本方法を、試料の温度履歴制御、雰囲気制御などをより高度化して14H~10H構造ストイキオメトリーの組成範囲でのキネティクス、MgY-TM系でTMをZnから他の3d遷移元素に置換した試料でのクラスタリングと配列秩序化の関係について定量解析を進める。このような相転移シーケンスがZnを別の3d遷移元素(Cu,Ni)で置換した場合の変化を検証する。また、共同研究者との議論により、クラスター間相互作用エネルギーの違いによりキネティクスが説明可能であるかを検討する。 このため、MgGdZn,MgYZnの組成の異なる試料についてのInsitu解析をおこなった。 2)後期(LPSO)形成領域とその前段階における透過XAFS測定によるクラスタ内部構造の検討 LPSOの構造情報のうち、L12クラスタの中心位置(格子間位置)に余分な原子が存在しているか否か、という点について申請者が興味を持っている初期クラスタ生成の安定性の議論にとっても重要な意味を持っている。そこでH28年度にはまずLPSOが形成された時点(比較的安定したXAFS信号取得可能)でのXAFS信号評価をMgY-TM系で行い、これらの系統的データを次年度の元素の違いによる振る舞いの解析のための基盤データとした。まずはMgYZnの69組成についてのEXAFS解析をおこない、その局所構造についてのZn環境の特徴を明らかにした。
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