研究実績の概要 |
蛍石型構造のZrO2-CeO2の拡散対で,カチオン相互拡散におけるミリ波照射の効果を調査し,拡散を促進させることを目的とした。固相法で得られた焼結体で拡散対を作るため、それぞれの焼結体の表面を9 µm,3 µm,1 µmのダイアモンドペーストで鏡面研磨を行った。そして拡散対にるつぼ状のアルミナ250 gの重しをのせたまま電気炉及びMSP製のミリ波照射装置で1560℃~1640℃の温度域において2時間~8時間保持で拡散アニールを行った。拡散対は3 mmに切断し表面研磨を行った後SEM-EDXを用いて界面付近の観察と元素分析を行った。 拡散対のCeイオン濃度50 %での相互拡散係数を示す。全ての温度でミリ波照射による相互拡散係数が従来法を上回り陽イオン相互拡散が促進しているが明らかになった。また,算出された相互拡散係数からアレニウスの式より相互拡散の活性化エネルギーを求めた。 ミリ波処理と電気炉処理での活性化エネルギーの比較したところミリ波照射による活性化エネルギーは従来法によるものより低く、35.8 %減少した。つまりミリ波照射ではより短時間で同等の拡散を起こすことが可能である。CeO2-ZrO2系での相互拡散はCeイオン濃度が大きいほど促進量が大きく,いずれの濃度でもミリ波照射下の方が大きな値を示した。これはCeO2がZrO2よりミリ波を吸収するため,各地点に存在するCeイオンが、その効果を受け拡散の駆動力であるエネルギーが増大したためだと考察している。
|