本研究は、伝導帯位置がプロトンの還元電位よりも低いため、水素生成が不可能であると考えられてきたオキシ水酸化鉄に対して、光エネルギーにより最表面を自己還元させ水素の生成を目指すという新しい光機能の開拓とその機構解明といった点が学術的に特色のある研究である。特にオキシ水酸化鉄はクラーク数の高いユビキタス元素で構成されているだけではなく身の回りにありふれた鉄錆であり、元素戦略という点からも学術的に大変意義がある。また、本実験系の特徴は無酸素条件下では起こらない反応であり、その利点は水素生成濃度が爆発限界(4%)を超えたとしても無酸素条件のため安全に扱えることができる。
|