研究実績の概要 |
共晶体を用いた相分離シンチレータにより、1μm の解像度を持つ検出器を具現化することに成功した。光導波性を有する REAO3/Al2O3(RE= Y, La, Gd, Lu, A=Al, Sc, Ga)相分離シンチレータの 10 ㎜角の大口径化を達成し、既存の CCD 検出器と組合せた X 線位相イメージング検出器を開発し、原理検証までを行った。具体的には①GdAlO3/ Al2O3 を基本組成とし、元素置換による結晶構造変化と各相間で許容される角度誤差を検討し、共晶組成・作製方位等を最適化した。Light Yield はTb8%添加で40000 [phs/MeV]以上が確認された。 ②大口径相分離シンチレータをマイクロ引下法 および EFG 法により作製する技術を開発した。ガス雰囲気をN2からHeにするのみならず、ベースプレートの開口部をφ19mmからφ31mmすること、温度分布の対称性からアフターヒーターの開口部対角2か所から、4か所にすることで、10mm□の試料の全面で、不規則相の発生を抑制できることが確認できた。 ③狭ピッチ CMOS センサとこれを組合せることにより、10μm 以下の周期パターンが検出可能な超高解像度を高感度で達成するX 線位相イメージング用検出器の試作と実証試験を行った。位相格子の自己像のレンズ光学系での撮像を行い、本実証に位相格子が作る8.24μm周期のパターンを用いることとした。さらに、研磨プロセスとセンサへの張り合わせ改善により、830μm厚のシンチレータでも周期パターンが撮像できることを実証した。結果として、ミクロンオーダーの超高解像度放射線検出器が実現した。 この検出器を用いてアルファ線、ベータ線、ガンマ線の飛程を観察した研究成果が、Nature Publish Groupの英国科学誌『Scientific Reports』に掲載された。
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