①本プラズマの発生機構の基本的な放電機構である電界放出型表面誘電体バリア放電についての基礎研究を行った。本放電は、CO2高圧ガス、超臨界流体中で発見された放電であるが、他の媒質での生成実験を行い、本放電の一般性の検証を行った。媒質としてXe、Ar、N2を用い、放電実験および光学的・電気的測定を行った。その結果、3種の媒質でCO2での電界放出型DBDと類似した発光が確認できた。一方、電荷・電圧測定から作成したFowler Nordheim plotでは、N2においては放電電流を電界放出が支配している電圧領域が絶縁破壊前に確認できたが、ArとXeにおいては確認できなかった。これらの差は、電極形状・状態や、媒質のイオン化係数・二次電子放出係数に依存する絶縁破壊時の電界放出電流密度の違いによると考えられ、ArやXeにおいても、より高圧等の条件では電界放出型DBDが実現するものと思われる。 ②さらに、大気圧絶縁性液体中(シリコンオイル中)において本放電の生成を確認することができた。また、発光分光測定、電圧電流測定から、この電界放出型表面DBDはTe(電子温度); 0.2 eV、ne(電子密度); 1016 m-3程度、かつ、媒質の温度上昇が1 K以下のプラズマ反応場であることが判明した。 ③先行研究から電界放出型表面DBDによって媒質中に存在する微粒子は負に帯電することが知られていたが、本研究ではシリコンオイル中でも同様の現象を確認できた。また、それらの現象の粒径依存性を明らかにした。また微粒子分離プロセスへの応用を提案した。
|