最終年度の平成30年度は、引き続き、電子ビーム励起ソリューションプラズマ表面プロセスシステムの開発、電子ビーム励起ソリューションプラズマの創製、プラズマ診断を進めた。特に、新たに、カーボンナノチューブを電極とした実験を新たに行った。また、その材料プロセスへの応用としても、本法の電気泳動堆積法新への応用を新たに試みた。具体的な成果としては、(1)従来の媒質間の比較を通じた本法の一般性の検証に関して、媒質としてAr、N2を用いた放電実験及び測定、およびデーターの解析をさらに精緻に行った。その結果、発光測定、および、電荷・電圧測定より作成したFowler Nordheim plotにおいても、電界放出が電子供給機構において支配的である領域を両媒質で確定された。また、絶縁破壊直前における電圧条件での電界放出型の生成しやすさについての考察において、従来よりも電極形状、電極間距離なども考慮したさらに完成度の高い精緻なモデルの構築に成功し、実験結果とのより良い一致を見出した。これらの結果は学術論文としてまとめられた。(2)新たにカーボンナノチューブを電極とした本プラズマの生成、分光学的診断実験を高密度(高圧ガス、液体、超臨界流体中)Ar、N2中で行い、電極材料としての耐久性などの実用性、優位性を見出した。本研究は学術論文として現在投稿中(minor revisionの判定の後、現在再投稿中)である。さらに、(3)本法の電気泳動堆積法への応用として、シリコーンオイル中での窒化チタンの堆積を行った。シリコーンオイル中で1窒化チタンのSi基板への十分な堆積を確認することができ、本法の電気泳動堆積法への応用を示唆する結果を得た。現在、本成果についても学術論文としての作成・投稿準備中である。
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