研究課題
本研究では、酸化物半導体薄膜形成プロセスにおける反応過程の解明を通じて、プラズマ反応性の高度制御により、良好な特性を有する半導体薄膜の低温形成と大面積均質プロセスの実現に向けた新しいプラズマプロセス技術を創成することを目的としており、以下の課題を設定して研究を推進してきた。[1]アニールプロセスにおける反応過程の解明、[2]低温アニールプロセスの開発、[3]プラズマ支援スパッタ製膜プロセスにおける反応過程の解明、[4]高密度プラズマ支援スパッタ製膜プロセス高度制御法の開発、[5]膜特性評価に基づいたプロセスの最適化。上記の研究目的を達成するため、これまでに蓄積した知見をもとに、本年度は低温かつ大面積でのデバイス形成に適用可能な高度プロセス制御法の開発に向けて研究を推進した。まず、デバイス特性のみならず安定性に着目して、高密度プラズマ生成制御の高度化により反応性を制御した低温プロセスを開発し、単なる熱処理ではアニール効果を示さない程度の低温においても、プラズマの反応性を利用することにより、従来の特性を凌駕する良好な薄膜トランジスタ特性を示す半導体薄膜を形成可能であると共に、デバイス特性の良好な安定性を示すことをストレス試験を行って明らかにした。また、反応性プラズマプロセスにおける反応性粒子の膜中での挙動について昨年度に引き続いて系統的に調べ、反応性プラズマプロセスが半導体膜中の弱結合酸素の低減に有効であることを再確認すると共に、デバイス特性との相関についても検討を行った。さらに、大面積プロセスへの展開に向けて、熱プロセスと反応性プラズマプロセスの比較を行った結果、反応性プラズマプロセスを用いた場合の方が、デバイス特性のみならず、面内での均一性においても良好であることを示唆する結果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
「研究実績の概要」に記したように、単なる熱処理ではアニール効果を示さない程度の低温においても、プラズマの反応性を利用することにより、従来の特性を凌駕する良好な薄膜トランジスタ特性を示す半導体薄膜を形成可能であると共に、デバイス特性の良好な安定性を示すことができ、さらにプロセスの大面積化に向けた研究も推進でき、順調に進展していると考えている。
これまでに蓄積した知見をもとに、酸化物半導体薄膜形成プロセスにおける反応過程の解明と共に、高移動度の半導体薄膜形成に向けた要因の解明を通じて、低温かつ大面積でのデバイス形成への適用可能性を念頭に置いて、高密度プラズマ支援デバイス形成プロセスの総合的な評価を行い、新たなプラズマプロセス技術の創成に向けて研究を推進していく予定である。
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Japanese Journal of Applied Physics
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