研究課題/領域番号 |
16H04517
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石本 卓也 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50508835)
|
研究分担者 |
中野 貴由 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30243182)
松垣 あいら 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10592529)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 強制負荷 / 機能適応 / オステオサイト / 骨細管 / 応力・ひずみ / アパタイト配向性 / 異方性-等方性 / メカニズム解明 |
研究実績の概要 |
骨が異方的応力場の負荷もしくは変化に対応し、骨中のアパタイトc軸配向性を変化させることで材質特性を応力場に対して異方化し、最終的に骨内部でのひずみを等方化するという骨独自の「強度自己調整」メカニズムを、応力感受を担うとされるオステオサイト細胞の観点から解明するため、H28年度は、(A) 骨中に存在するオステオサイトの三次元的可視化、(B) 人為的な種々の異方的応力(ひずみ)状態を示す骨モデルの作製、(C) オステオサイト骨細管での幾何学的ひずみ感受効率の解析、について研究を実施した。 (A)については、ナノX線顕微鏡CT法ならびに骨小腔・骨細管への蛍光色素導入後の共焦点レーザー顕微鏡法によりオステオサイトの三次元画像を取得に成功し、その異方性形態(回転楕円体近似)・配列度の定量化を可能とした。さらには、解析ソフトの仕様変更により、応力の感受性に関与すると期待している骨細管の方位分布を解析可能とした。 (B)については、ラット尺骨への繰り返し圧縮荷重負荷モデル、ならびにそれを改良して、低ヤング率の再生部を導入しての負荷による主応力方向が変化したモデルの作製に成功した。本モデル骨について、今後骨異方性ならびに(A)の手法にて解析を進めていく予定である。 (C)については、(A)にて実現した骨細管の方位分布に基づき、任意の主応力を想定しての、骨細管による幾何学的応力感受効率の算出を達成した。(B)の主応力方向変化モデルにおいて、変化した主応力に対して感受効率を向上させるよう、オステオサイトが自身の向きを調整することを見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のとおり、目的達成のために不可欠な人為的負荷動物モデルの作製、応力感受メカニズムの中心的存在であるオステオサイトの三次元的可視化、それの基づく感受効率の算出を終え、残り2年でのメカニズム解明に向けての基本的ツールが整った。さらに、主応力方向の変化に対応してオステオサイトが精緻に、敏感にその異方性を変化することを新たに見出した。以上より、当初計画に準じて研究を実施しており、順調に成果が出ていると自己評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
H28年度に作製した骨モデルを、同じく確立した手法を用いて解析することで、応力場と骨配向性の対応関係を理解するとともに、骨が応力場に適応する際の閾値を決める物理量の特定と閾値の解明に向けた解析を実施する。並行して、強度自己調整メカニズムにおける重要な遺伝子、分子群の特定を目指し、マイクロアレイ法や各種免疫染色法といった生物学的観点からの解析を実施する。
|