研究課題
原子力発電に用いられる構造材料は、高温環境下に加え、中性子線や電子線という特殊なエネルギービームに曝される。照射環境下では格子間原子や空孔等の原子レベルの欠陥が導入され、その蓄積に伴い機械的性質等の材料特性が劣化し、重大事故を誘発される可能性がある。このため、原子力材料には高温安定性に加えて、優れた耐照射性が求められている。耐照射性材料を向上させる1つの方法として、欠陥の消滅速度を向上させることが挙げれられる。アモルファス材料は、自由体積の存在や原子結合の自由度により新規耐照射性材料として注目されている。我々は昨年度から米国ネブラスカ大学リンカーン校のMichael Nastasi教授と国際共同研究を推進し、1200℃以上の結晶化温度を有するアモルファスシリコンオキシカーバイド(SiOC)の照射挙動を調べた。本物質の組成はSiO2とSiCの比によって表わされるが、ヘリウム(He)イオン照射後も全ての試料において電子回折図形中にハローパターンが確認され、結晶化が起こっていないことが確認された。イメージングプレートを用いた電子回折強度の定量解析により得られた動径分布関数においても、大きな変化は見られなかった。断面透過電子顕微鏡法による組織観察の結果、SiCリッチの試料ではHeバブルが形成され、著しい体積膨張と共に機械的性質の劣化が生じることが確認された。一方、SiO2リッチのアモルファスSiOCではHeバブルが抑制されることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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