研究課題/領域番号 |
16H04529
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鵜飼 重治 北海道大学, 工学研究院, 特任教授 (00421529)
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研究分担者 |
大野 直子 北海道大学, 工学研究院, 助教 (40512489)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ODS / 酸化物粒子 / ナノ粒子 / セリア / アルミナ |
研究実績の概要 |
CeO2-ODS鋼については、Fe-12Cr-6.3Al-0.5Ti-0.7CeO2を基本組成として、過剰酸素濃度を0.05wt%から1.0wt%まで変化させた12種類の試料をメカニカルアロイング(MA)とスパークプラズマ焼結で作製し、酸化物粒子の生成・微細化機構を調べた。添加した酸化物粒子はCeO2(4価のCe)であるが、MAプロセス中にCeと酸素に分解し、その後の1000℃以上の加熱でCe2O3(3価のCe)として微細析出することを放射光施設のX線吸収微細構造(XAFS:X-ray Absorption Fine Structure)解析により明らかにした。主要な酸化物分散粒子はサイズが10 nm以下の微細なCe2O3粒子である。過剰酸素濃度の増加に伴い、鋼内部のAlの内部酸化によりCeAlO3酸化物粒子も生成するようになるが、これらの酸化物粒子サイズは10 nm~30nmと比較的粗大であるため、分散強化応力の向上に対しては微細なCe2O3粒子の寄与が大きいことが分かった。しかし、過剰酸素濃度を0.05wt%から1.0wt%まで増加させると、700℃引張強度は向上する。 次に、CeO2を添加せず、酸素のみを過剰酸素濃度として0.2wt%~1.0wt%の範囲で添加した4試料を作製し、Alの内部酸化を利用してAl2O3分散FeCrAl-ODS鋼の作製を試みた。ここで酸素はMA中にFe2O3の形態で添加した。鋼内部に平均直径で約40nmのAl2O3粒子が生成し、過剰酸素濃度の増加に伴い、その数密度も増加することが判明した。析出するAl2O3粒子サイズは約40nmと10nm以下のCe2O3粒子に比べると比較的粗大であったが、これはAl2O3粒子とフェライト母相との界面エネルギーが大きく、かつ母相のAlの固溶限が大きいため、オストワルド成長しやすいためと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Al2O3による酸化物粒子微細化機構解明に関しては、メカニカルアロイングによる特殊な試料作製技術とナノ粒子定量のための特殊な電子顕微鏡観察技術を持つ研究協力者の参画がH28年度内に得られなかったため、これについては平成29年度に繰越し、終了した。それ以外の研究課題については、当初計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に計画していた酸化物粒子と表面被膜の形態観察については、特殊な電子顕微鏡観察技術を持つ研究協力者の参画が平成29年度内には得られないため、平成30年度に繰越して実施する計画である。計画全体として、平成29年度はアルミナ被膜の解析、平成30年度は事故時高温条件での特性解析を計画しており、一部の研究は繰越して実施するが、全体として計画通り進展する計画である。
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