研究実績の概要 |
CeO2-ODS鋼の基本組成はFe-12Cr-6Al-0.5Ti-0.7CeO2(wt%)として、これに過剰酸素(Ex.O)を0.07wt%と0.20wt%添加した2種類の試料を作製した。作製においては、メカニカルアロイング(MA)処理した粉末を熱間押出(1150℃)で固化成型した後、1150℃×1時間の溶体化処理を施した。 内部酸化で酸化物粒子が生成する条件を調べるため、MA処理粉末を500 ℃~1150 ℃で焼鈍しXRDによる相同定を行った。その結果、800 ℃付近でCeAlO3が出現し、焼鈍温度の上昇に伴いCeAlO3の回折強度が強くなり、1,000 ℃以上ではα-Al2O3が出現した。この実験結果と多相平衡熱力学計算の結果から、MA処理粉末の1150℃での熱間押出時に進行する内部酸化反応としては、MAで強制固溶した酸素による内部酸化で球状CeAlO3が生成し、添加したCeが全て消費された後に過剰のAlが球状α-Al2O3として析出する2段階のプロセスとして起こることを明らかにした。 熱間押出し固化成型で酸化物粒子を内部酸化で生成させた試料について、大気中酸化試験(1250℃×100h、1300℃×100h、1400℃×49h)を行い、各時間ステップでEPMAにより元素分布(Al, Cr, Ce, 酸素, 等)を測定し、アルミナ連続保護被膜の生成条件を調べた。過剰酸素濃度の高低にかかわらず、Al濃度を6wt%にすると、Alの外方拡散フラックスの方が外部環境から導入される酸素の内方拡散フラックスを上回り、α-Al2O3の連続保護被膜が形成されることを明らかにした(外部酸化モード)。またY2O3-ODS鋼では被膜剥離する1400℃においても、CeO2-ODS鋼に形成される保護被膜は極めて安定であることを新たに見出した。
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