CeO2-ODS鋼については、Fe-12Cr-6.3Al-0.5Ti-0.7CeO2 (wt%)を基本組成として、これにEx.O濃度を0.05~1.0wt%の範囲で添加した12種類の試料を作製し、形成される酸化物粒子と機械強度特性(ビッカース硬さ、引張特性など)の関係を評価した。過剰酸素濃度が0.05wt%である試料の高温引張強度には10nmサイズ以下の微細なCe2O3粒子による分散強化応力が支配的に働き、過剰酸素濃度が0.05wt%から1wt%までの増加に伴う高温引張強度の向上はサイズが10nm以上の比較的粗大なCeAlO3粒子の増加による分散強化応力の増大で説明できる。 Y2O3粒子を添加せず、試料の作製過程で固溶Alから内部酸化でAl2O3粒子の分散を図ったAl2O3-ODS鋼では、基本組成をFe-12Cr-6.3Al-0.5Tiとし、過剰酸素濃度を0.2wt%~1.0wt%添加した。過剰酸素濃度の増加に伴い高温引張強度は向上した。これはAl2O3粒子の数密度の増加による。しかし、Al2O3粒子のサイズは40nmと粗大で数密度が低いため、分散強化応力はCeO2-ODS鋼のレベルには達しないことが判明した。 作製した試料について、1200℃、1300℃、1400℃での水蒸気酸化試験を行い、各温度での酸化反応速度を評価した。また断面のEPMAによる元素分析より、Al2O3保護被膜の生成の有無を確認した。その結果、ベース組成が12Cr-6Al(wt%)であれば、Alの外方拡散フラックスは水蒸気からの酸素の内方拡散フラックスを上回り、Al2O3連続保護被膜が形成されることを確認し(外部酸化モード)、事故時高温条件においても優れた耐水蒸気酸化特性を有することを明らかにした。
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