研究課題/領域番号 |
16H04547
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小山 佳一 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (70302205)
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研究分担者 |
三井 好古 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (90649782)
伊藤 昌和 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (40294524)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 強磁場 / 状態図 / 強磁性体 |
研究実績の概要 |
研究の目的は、磁気エネルギーの利得で進む化学反応・合成過程(強磁場反応促進効果)を解明し、これを基に磁場による選択的結晶成長と分離プロセスを示すことである。試料を自発磁化が大きく基礎・応用研究も盛んなMn基及びFe基強磁性体5種に絞り、[A] 強磁場中状態図の系統的評価、[B] 強磁場中熱処理による強磁性合成(強磁場試料合成・特性評価)、[C] 強磁場安定強磁性相の特性評価(基礎特性評価)を計画した。研究目的を達成するために、鹿児島大学所属の研究代表者と分担者2名で、[A]から[C]実験班を分担し、さらに大学院生3名らが参画した。H28年度研究に用いた試料は、MnBi, MnAl, Mn-Al-Cである。磁場8Tまでの実験は鹿児島大学で行われ、10T以上の実験は東北大学金属材料研究所強磁場施設の共同利用設備を利用した。 [A] MnAlについて磁場中示差熱分析を行った。非磁性エプシロン相から強磁性タウ相への相変態温度が、磁場によって低下することを見出した。これは、Mn-Al系の状態図が強磁場で制御できることを示している。 [B] Mn-Al-C溶解試料のゼロ磁場熱処理では、Cの添加により非磁性エプシロン相の領域が拡大するのを確認した。現在磁場中合成に向けて準備中である。 [C} 粉体原料によるMn-Al-C焼結試料では、強磁性タウ相(強磁場安定強磁性相)の合成可能組成範囲を見出した。現在磁場中合成に向けて準備中である。 さらに、強磁場中熱処理急冷炉を制作、MnBiを15T強磁場中急冷試料の合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)試料合成はほぼ計画通り行われた。(2)計画していたMn-Al系の磁場中示差熱分析を成功させ、相変態温度の磁場依存性を見出した。これは、Mn-Alの平衡状態図が磁場で制御できるだけではなく、ゼロ磁場で準安定相でも強磁場で安定相として状態図上に出現することを示唆している。(3)Mn-Al-C系の合成に成功し、強磁性安定相を出現組成範囲を決定した。(4)強磁場中熱処理急冷炉の開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)Mn-Al系の磁場中平衡状態図を完成させる。(2)強磁場中熱処理急冷炉を用いてMn-Bi系およびMn-Al系強磁場中状態における試料組織を明らかにする。(3)Fe-Al系の予備実験に着手する。磁場中実験を加速するために、本研究専用のマグネットを導入して実験を進める。
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