研究課題
本研究では、色素増感太陽電池の電極用の色素担持酸化チタン多孔質膜の新しい作製方法として、膜の構成物質を気相輸送・基板堆積させる手法を開発し、作製膜を用いた電池の性能評価等をつうじて、望ましい膜の性状および作製条件を明らかにするための検討を行ってきた。本年度の研究成果の概要は、以下のとおりである。1.前年度までに製作・改良してきた光電極用酸化チタン多孔質膜成膜システムを用いて、酸化チタン粒子の粒子径や堆積条件を変えて、空孔構造や膜厚などを変化させた膜を作製した。これにより、膜の空孔構造、組成、結晶相などの形態・性状と、堆積粒子の性状および堆積条件との関係が得られた。また、膜の焼成条件の影響を検討するために、焼成後の膜構造と酸化チタン結晶相の観察・測定も行った。さらにこれらの膜を、色素溶液の含浸を経て光電極に加工して、電解液、対極を組み合わせて電池ユニットを形成した。このユニットに対して、前年度までに開発した手法を用いて光電変換効率などの性能を評価し、酸化チタン多孔質膜の形態・性状、酸化チタンの結晶相、色素の担持量などとの相関を見出した。2.前年度に構築した酸化チタン粒子と銀ナノ粒子の同時堆積手法を用いて、銀がドープされた酸化チタン多孔質膜を成膜した。堆積させる銀ナノ粒子の性状と、酸化チタン粒子も含めた堆積条件を変化させて作製した膜に対して、膜の構造および膜中の銀ナノ粒子の存在・混合状態を観察・測定した。さらに、光電極膜としての性能に直接関わる膜の光吸収特性を調べた。その結果、とくに膜中の銀粒子の存在量を調整することで、太陽光中の可視光成分の吸収を増大させられることがわかった。3.本研究を通じて得られた、作製条件、膜性状、電池性能の関係を総括することで、光電極用色素担持多孔質膜の作製と性能に影響する因子、および、望ましい膜性状とそれを実現するための条件について考察した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
Microporous and Mesoporous Materials
巻: 280 ページ: 227~235
10.1016/j.micromeso.2019.02.010
Particle and Fibre Toxicology
巻: 15 ページ: 41
10.1186/s12989-018-0277-x