研究課題
1 吸着剤を用いた地熱水からのリチウムとホウ素回収の基礎試験リチウム吸着剤としてはλ型二酸化マンガン系吸着剤、ホウ素吸着剤としてはN-メチルグルカミンを官能基とする吸着剤を用いて、地熱水からのリチウムとホウ素の吸着平衡実験を行い、地熱水中に共存するナトリウムやカリウム、シリカ、ヒ素などに対する吸着剤のリチウムとホウ素の吸着特性や選択性について定量的評価を行った。実験に使用する地熱水は、大分県別府鉄輪温泉および岩手県の葛根田地熱発電所の地熱水を用いた。2 連結カラムを用いた地熱水からのリチウムとホウ素の分離回収試験リチウム吸着剤とホウ素吸着剤を充填した吸着分離カラムを連結し、リチウム吸着カラムとホウ素吸着カラムにリチウムおよびホウ素を選択的に吸着させ、その後、カラムを水洗浄したあと、薄い酸を用いて溶離して濃縮したリチウムとホウ素を含む脱着液を得るプロセスを開発した。このプロセスでの供給液速度、吸着後のカラム洗浄(スクラビング)、溶離についての最適操作条件の探索とその性能評価を行った。3 バイポーラ電気透析法を用いたリチウムとホウ素の分離回収の基礎試験リチウムとホウ素を含む塩酸酸性溶離液を、陽極室と陰極室とバイポーラ電気透析装置にて電解すると、陰極室から水酸化リチウムの濃厚水溶液を、陽極室からホウ酸の濃厚水溶液を、直接生成することができる。本研究では、バイポーラ電気透析の基礎研究として、塩化リチウムとホウ酸を希塩酸に溶解した水溶液を用いてバイポーラ電気透析装置による電解を行い、水酸化リチウムとホウ酸の生産効率とpHやリチウム濃度、ホウ素濃度、電圧、電流との関係を明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
当初平成29年度に予定していた研究実施計画の3項目すべてを実施しており、おおむね順調に実験結果を積み上げることができた。ただし、当初使用を予定していた大分県の八丁原地熱発電所の地熱水が、昨年4月に発生した熊本地震の影響(被害)により、八丁原地熱発電所の地熱水の供給が不可能となった。そこで、急遽東北自然エネルギー株式会社の協力を得られ、岩手県の葛根田地熱発電所の地熱水を供給いただき、実験を遂行することができた。また、大分県別府鉄輪温泉の地熱水は、鬼山地獄のご協力で地熱水を供給いただき実験を遂行することができた。また、この地熱水サンプルの供給によって、次年度の実験で使用する地熱水の確保を行うことができた。
次年度は、本年度に開発してきた「地熱水からのリチウムとホウ素の同時分離回収のためのハイブリッドプロセス」に関する研究として、実地熱水を用いて、1 連結カラムを用いた地熱水からのリチウムとホウ素の分離回収試験リチウム吸着剤とホウ素吸着剤を充填した吸着分離カラムを連結した2元素同時分離回収プロセスを用いて、地熱水からのリチウムとホウ素を選択的に吸着させ、他の共存元素を排除するシステムを開発する。実験に使用する地熱水は、大分県別府鉄輪温の地熱水を用いる。このプロセスでの供給液速度、吸着後のカラム洗浄(スクラビング)、溶離についての最適操作条件の探索とその性能評価を行う。2 バイポーラ電気透析法を用いたリチウムとホウ素の分離回収の基礎試験リチウムとホウ素を含む塩酸酸性溶離液をのバイポーラ電気透析装置の基礎研究として、ホウ酸リチウムを溶解した水溶液を用いてバイポーラ電気透析装置による電解を行い、水酸化リチウムとホウ酸の生産効率とpHやリチウム濃度、ホウ素濃度、電圧、電流との関係を明らかにする。このとき、試料液と陰極液および陽極液の液量比を変化させることによって、生成する水酸化リチウムおよびホウ酸を濃縮することが可能であるので、試料液/陰極液(=陽極液)の液量比を10~20 倍に変化させ、水酸化リチウムおよびホウ酸の濃縮効果を明らかにする。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件) 備考 (3件)
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