研究実績の概要 |
前年度に見出したRhBi/SiO2触媒を、各種のジエンの選択的水素化に用いた。1,3-ヘキサジエン、4-ビニルシクロヘキセン、リナロールなどの水素化において、RhBiは85%以上の転化率および88%以上の末端C=C水素化選択率を示した。反応速度論的解析およびDFT計算などによりRhBiの高い選択性が、①RhBi表面でRhが一次元的配列を取るため水素のアタックが幾何学的制約を受けること、②原子半径が大きいBiによる立体障害により反応分子中の内部C=C結合の水素化が起こりにくいこと、の2点に起因することを明らかにした。さらにRh原子が一次元的配列をとる面をもつ金属間化合物RhM(M=Fe, Zn, Sb, Ga, In, Bi)について、Mの原子半径が小さいほどRhM/SiO2のレギオ選択性が向上することを見出した。 また、貴金属を含まない金属間化合物による触媒反応として、トリエチルシランを用いたシクロへキセノンのヒドロシリル化を検討した。SiO2担体上で、Niと第2元素(Ga, Ge, In, SnおよびBi)とを反応させてNi系金属間化合物の微粒子を調製し、70℃にてヒドロシリル化を行った。Ni/SiO2は全く触媒活性を示さなかったが、一部の金属間化合物は反応を促進した。主生成物は(1-cyclohexen-1-yloxy)(triethyl)silane(CTS)であった。組成の影響を調べたところ、Ni3Gaが最も高いCTS収率(19%)を与えたのに対し、NiGaは不活性であった。 さらに4-ニトロスチレンのニトロ基選択的水素化に対するNi系金属間化合物の触媒作用も検討した。その結果、ヒドロシリル化とは異なり金属間化合物より固溶体合金の方が高い4-アミノスチレン収率を与えた。
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