研究課題
本研究では、生体内において一連の酵素群が微小空間内に密集して酵素反応が共役していることに着目し、ナノ粒子への酵素集積化と自身が開発したナノ粒子の自発的階層集合化の技術を組み合わせて、生体外で酵素密集環境を構築するプロセスの開を目指す。そのために、本年度では下記を行った。1. 組換え酵素群の調製:ナノ粒子へ酵素を固定化するために、酵素のC末端にいくつかのペプチドリンカーを介してビオチン化ペプチドとポリヒスチジンタグを融合した組換え酵素を大腸菌にて調製した。ビオチン化ペプチドの融合により酵素の発現量の低下をおこすことがあったが、培養条件を検討することによって実験で用いる程度は調製できるようになった。2. ナノ粒子群の作製:まず酵素を固定化させる無機ナノ粒子を50nm~200nmの粒子径の範囲で合成した。そして、それぞれの粒子径をもつナノ粒子へストレプトアビジンを、粒子とストレプトアビジンの混合比を変化させて、粒子表面へストレプトアビジンを固定化させた。3. 酵素集積ナノ粒子の活性評価:上記で組換え酵素群とナノ粒子を、様々な比率で混合して酵素集積ナノ粒子を網羅的に作製し、それらの活性評価を評価した。その結果、酵素とビオチン化ペプチド間のリンカーの特性によって、粒子に固定化されることによって酵素の活性が低下するものとしないものがあることが分かった。また、粒子表面に固定化されているストレプトアビジンの固定化量も酵素の失活に影響を与えることも分かった。
2: おおむね順調に進展している
酵素およびナノ粒子ともに調製することができ、さらに粒子表面へ酵素を固定化することもできているため。
一つのナノ粒子に異なった酵素を集積させてき、共役効果を発現するかを評価していく。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
Protein Engineering, Design & Selection
巻: 30 ページ: 15-21
doi.org/10.1093/protein/gzw057
Physical Biology
巻: 13 ページ: 056002(1-18)
10.1088/1478-3975/13/5/056002