研究課題/領域番号 |
16H04574
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西島 謙一 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10262891)
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研究分担者 |
小野 悦郎 九州大学, 医学研究院, 教授 (00160903)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ニワトリ / 始原生殖細胞 / 抗ウイルス |
研究実績の概要 |
クローニングしたMuc13遺伝子を発現させた細胞に対し、モデルウイルスとしてVSV-Gシュドタイプ型のウイルスベクターを用いて抗ウイルス活性を検討した。293FTに一過性にMuc13を発現させ、ウイルス感染性を検討したところ、大きな影響は認められなかった。このことからMuc13の過剰発現によっては強い抗ウイルス活性を持たせることは難しいことが示唆された。 将来精子・卵子となる始原生殖細胞を長期培養して操作した後、ニワトリ個体まで効率よく発生させることができれば、ニワトリの遺伝子改変を自由に進めることができる。BMPやActivinなどのサイトカインの添加で長期培養が可能となったが、ニワトリ始原生殖細胞分化に関する知見はまだ限られたものである。そこで、未分化なES細胞様の細胞が存在する産卵直後の胚盤葉期胚に着目した。胚盤葉期の細胞を回収し、始原生殖細胞培養用の培地で培養し、遺伝子発現を検討した。その結果、3日間の培養後においてもCVHやDAZLなど生殖細胞特有遺伝子の発現レベル上昇は認められなかった。一方、ある程度の分化を誘導するとされるサイトカインなしのDMEM培地においてもやはり生殖細胞関連遺伝子の発現は低いものであった。また、ニワトリ始原生殖細胞の分化に重要との報告があるCVH遺伝子の過剰発現によってもDAZLなどの発現は始原生殖細胞に比べて低いものであり、他の因子の重要性が推測された。 長期培養した始原生殖細胞におけるCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集の効率について検討した。エレクトロポレーション法により導入したCRISPR/Cas9発現ベクター上に挿入された薬剤耐性遺伝子の一過的発現により選択を行った。その後限界希釈法によりクローニングし、増殖してきた細胞のゲノムを調製、配列を確認した。その結果、多くの細胞で目的遺伝子部位に欠損が入っていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニワトリムチンのうち遺伝子サイズが小さいMuc13に関しては検討をほぼ終えつつあり、残念ながら強い活性は期待できないことが判明した。一方、ニワトリ遺伝子操作の効率を格段に進めうる始原生殖細胞の操作および基礎的な分化・増殖メカニズムについて進展が見られた。全体としてほぼ計画通り進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
培養始原生殖細胞等を用いて基礎的解析を進めるとともに遺伝子操作ニワトリの作製を進める。
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