研究課題/領域番号 |
16H04576
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 浩 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00226250)
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研究分担者 |
松田 史生 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (50462734)
戸谷 吉博 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (70582162)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 反応速度論 / 物質生産 / インシリコデザイン / 代謝フラックス / 生物情報工学 |
研究実績の概要 |
微生物による有用物質生産を実現するには、微生物が有する代謝系を合理的に改変し、生産収率および生産速度の両方を最大化する必要がある。従来の研究では、合理的な生合成経路の改良や生産性の向上の方法が未開発であった。本研究では、生産速度の向上に焦点を当て、代謝経路中に潜む律速点を同定する方法について研究を行うことを目的としている。バイオプロセスに用いる微生物代謝経路中の律速点を同定する手法を開発し、生産速度の最適化を実現するための新たな代謝デザイン法を開発する。そのために精密定量したin vivoの代謝定量データ(代謝物質濃度、酵素量、代謝フラックス)から、代謝経路の律速点を高精度に同定する方法論を確立する。 本年度は、昨年度開発した大腸菌の細胞内の代謝物質濃度の絶対定量法により得られたデータを活用し、代謝物質の濃度プロファイルからGibbsの自由エネルギーを算出することで、代謝律速点候補の絞り込みを行なった。標準自由エネルギーはデータベースを参照し、得られた代謝物質の絶対濃度を用いてGibbsの自由エネルギーを得ることに成功した。また、各代謝物質濃度と各反応のミカエリス・メンテン定数を比較した。これらの情報をもとに平衡状態に近い反応とシステム全体を駆動する反応を区別するプラットフォームの構築を行った。この方法に基づいて、目的物質であるメバロン酸生産を向上させるための育種を行い、その有用性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、精密定量したin vivoの代謝定量データから、代謝経路の律速点を高精度に同定する方法論を確立することを目的としている。H29年度は、代謝物質濃度の値から育種する候補遺伝子を探索しその結果をもとに優良株が作出され、研究は計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、動的なモデルを開発し、モデルを用いて有用遺伝子を探索することを考えている。酵素量を増減させることができた場合に目的物質の生産速度に最もインパクトのある反応をシミュレーションにより抽出し、育種することで有効性を実証したいと考えている。
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