ハイパースペクトルセンサの分解能が高すぎる一方、ノイズが多いことに注目して研究を行っている。ハイパースペクトルデータに対しウェーブレット変換を行うことで、任意の分解能のスペクトルデータを作成した。いくつかのハイパースペクトルデータを用いて分類実験を実施した。Indian PinesおよびPavia Universityデータにおいて、10%のデータを学習に用いたところ、Random Forest法ではOverall Accuracyが、それぞれ74→84.7%、89.1→93.7%に向上した。このことは、ウェーブレット変換を行うことで、よりよい複合波長帯を作成できていることを示している。スペクトル情報のみで精度の向上を達成できることが判った。とりわけ、ウェーブレット変換は処理が軽いことから、機上でもちいる上でも有効な手段となりうると考えられる。 また、ハイパースペクトルデータの高度化のために、影などが存在する場合の線形混合モデルの拡張を試みた。線形混合モデルが各ピクセルで成り立つが、端成分が変動モデルに従って各ピクセルで変化する場合の分析を行った。この分析に照らして、拡張線形混合モデルに基づいて、線形の場合に使用される古典的な手法を解決する統合アンミキシングチェーンを提案した。提案された手法を実際のデータセットに適応したところ、被覆率を最もよく推定できることを示した。 宇宙用ハイパースペクトルセンサは2019年12月に国際宇宙ステーションに到着した。オンボードで輝度係数を適用する機能においては、センサのデータ処理系に設置されたFPGAを用いて無事に機能を検証しているところであり、係数がまだ完全でないために、データにストライプノイズが発生している点を除けば問題ない状態である。一方、与圧部計算機の初号機には異常が発生したため、種々のアルゴリズムは地上での確認にとどまった。
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