マグネチックレイヤ型SBSシステムのプルーム干渉効果についてカソード位置依存性の検討を行った。前年度までにカソード位置が下流に移動するにつれて推力が減少すること、また、イオン電流の減少がその要因ではないことが示されている。 今年度は、イオンビームエネルギー、カソード電位、プルーム形状に着目し測定評価を実施した。その結果、推力減少を与えるイオンビームエネルギー、カソード電位の影響は確認できなかった。また、RPAを用いてプルーム中のイオン流束分布を測定した結果、カソードが下流に移動した場合に、特にSBS作動時にプルームの発散効果が得られた。 これらの結果から、カソード位置が下流に移動することによる推力の減少には、プルーム発散が主に効いていることが明らかになった。 次にこのカソード位置とプルーム発散の関係を調べるために電離振動周波数の評価を行った結果、カソード位置の依存性が認められ、この結果はカソード位置の違いによる逆流電子特性が加速チャンネル内の電離・加速に影響を及ぼし、その結果としてプルーム発散角が変化したことを示している。 また、このプルーム発散角は磁場の印加方向の組み合わせによっても影響を受けることが研究代表者らの評価により得られており、この機構を調査する目的でHybrid-PICコードを適用した2次元軸対称コードを開発し、その現象を再現することに成功した。この結果から、磁場印加方向の組み合わせが電子を経て電位分布の違いを生じることでプルーム発散に影響を及ぼすことが確認できた。 また比較のためアノードレイヤ型ヘッドにおいてもカソード位置の影響を評価した。
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