研究課題/領域番号 |
16H04591
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長野 方星 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10435810)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 熱拡散率 / 異方性 / ロックインサーモグラフィー / 複合材料 |
研究実績の概要 |
本研究は,複合材料に内在する3 次元の熱伝導異方性分布を,マイクロおよびマクロスケールで高精度かつ迅速に測定できる手法を独自に開発し,これまで有効な方法が無かった先進複合材料のマルチスケールでの熱伝導率異方性分布評価技術を確立するとともに,本技術を非連続繊維型複合材料などのランダム配向複合材料に応用することで,従来にはない熱伝導率分布と繊維配向性分布を非接触で迅速に同定できる独創的な技術とその解析理論を確立することを目標とする。これにより,航空宇宙分野をはじめ様々な応用が期待される先進複合材料の製造技術や品質評価技術,および熱設計精度の飛躍的向上を目指す。1 年目は非接触加熱,非接触検知で複合材料の3次元の熱拡散率計測が可能な装置および解析理論の構築を中心に行った。 まず3 次元熱拡散率測定原理を検証するため光学系,試料系,計測系を設計,構築した。測温部には高分解能2次元中赤外線検出素子を新たに導入し,信号の検出確認を行った。次に,与えた周期加熱信号と2次元赤外線検出素子による温度応答の位相差を確認し,熱拡散率の算出を試み,基本動作の確認を行った。その結果,直交積層CFRPの熱拡散率の面内分布を角度分解の0.5°で計測できることが実証された。また,非連続繊維型CFRPに本手法を適用し,熱拡散率の局所的な偏りを明らかにすることができた。また製造時の樹脂流動に伴う繊維配向と定性的な一致が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標であった「複合材料用3 次元熱拡散率装置の基本システムの完成」が着実に達成されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はマイクロスケール領域での熱拡散率分布,配向同定法の適用性を検討するため,異方性解析理論を用いて異方性を考慮した3 次元熱伝導理論に測定データをフィッティングさせることで,試料の制約を受けることなく面内および厚さ方向の3 軸方向の熱拡散を同時に求める手法の構築を図る。 また,構築したシステムを用いて,繊維配向が既知の材料を測定し,熱拡散率情報から繊維配向を決定するための理論を構築する。
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