研究課題/領域番号 |
16H04592
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
東野 伸一郎 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40243901)
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研究分担者 |
林 政彦 福岡大学, 理学部, 教授 (50228590)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 無人航空機 / 空力特性 / 高高度飛行 / 気球 / エアロゾル |
研究実績の概要 |
昨年度までに開発した,パラシュートが機体に及ぼす力・モーメントを測定し,全機にかかる力・モーメントから差し引くことによって低レイノルズ数領域における空力特性すを推定する「パラシュートスティングバランス(PSB)」の基本システムにおいて,データの同期に問題があることが判明したため,その解消を行った.また重量の増加に伴って,気球側への負担が増え,思うように分離高度が上げられない可能性があったため,制御システムのハードウェアを新たに開発し,システムの小型・軽量化を図った.これまでの機体-パラシュート-気球の接続方法は,この順に下から連続的に接続する方法であり,気球の分離は機体の制御装置とは独立した分離装置によって行われていたが,気球の分離を機体側の制御装置で管理できる方が望ましいため,気球とパラシュートをそれぞれ機体に直接接続し,独立して分離制御できる方式を開発した.データ取得の効率を上げるために,気球ではなく,通常の離陸方法によって上空まで上昇したのち,パラシュートを展開してデータ取得を実施するためのパラシュート展開装置を開発し,比較的低空でもある程度上空のレイノルズ数に相当する空力特性を取得できるようになった.また得られたデータにもとづき,これまでの重回帰にかわり,垂線誤差法と呼ばれる方法を用いることによって空力特性をより高精度に推定し,高高度のシミュレーションモデルを開発することにより,高度14kmまでの制御系の設計と制御ゲインのロバスト性の評価を行った.その結果,安定性を損なわずに分離・帰還が可能な見通しが得られた.北海道美深において,気球を用いた分離・データ取得実験を実施し,新たなパラシュート,気球懸吊方式および分離方式の機能確認を行うことができた.また,これまでに得られた結果について日本航空宇宙学会西部支部講演会において大学院生が発表し,優秀講演賞を受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
機体重量の増加,気球分離を機体側制御装置からコントロールする必要性,PSBシステムにおけるデータ同期の問題などから,新制御システムの開発による制御システムの小型・軽量化,PSBシステムのデータ同期の問題の解消,気球とパラシュートの独立分離システムの開発などに時間を要したため.
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今後の研究の推進方策 |
基本システムの問題点はほぼ解消されたと考えており,今年度はモンゴルでの高高度実験による懸吊,分離システムの機能確認と,空力特性を実施し,高度20km程度からのパラシュート無しでの滑空帰還を成功させるべく,準備を行う.また,第60次日本南極地域観測隊に大学院生を同行者として同行させ,最終的には高度30km程度までの空力特性推定および制御系設計と,パラシュート無しでの完全滑空帰還を目指す.また,これまで得られた結果について論文等にまとめ,投稿する.
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