研究課題/領域番号 |
16H04597
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
和泉 充 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50159802)
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研究分担者 |
上入佐 光 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10734212)
池田 吉用 東京海洋大学, その他部局等, その他 (40377073)
井田 徹哉 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (80344026)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 海潮流タービン / 海洋資源 / エネルギー / 超伝導発電機 / 二重反転 / リムドライブ |
研究実績の概要 |
研究計画に従い研究推進会議では、超伝導発電機と二重反転タービンについて技術的な情報交換と議論とが進められた。東京海洋大学(以下、海洋大)グループ が発電機構造設計と生物付着問題への調査等を行い、潮流用タービン翼設計を海上技術安全研究所(以下、海技研)と九州大学(以下、九大)グループが担当し、国内学会発表を行った。また、海洋大が考案した、新形式タービン向け発電機についても、電気設計に関する論文発表を行うとともに、超伝導の利用に必要な冷却系についても検討を加えた。1MW級発電機の電気設計では、高温超伝導磁極の磁束密度の3次元分布、電流と熱損失、極数に対する性能について検討を行った。加えて、バルク磁石を界磁に使った場合の冷却系の評価を行った。一方、海技研提案による海潮流発電用二重反転タービン、相反転発電機、前後近接式リムの形式に関して、主にタービン性能及び構造的な観点からの検討を行った。前年度、九大で開発したタービン翼の性能を計算する手法であるT-SQCMを、二重反転リムドライブタービンの設計に利用するために必要な、二重反転タービンの前後それぞれのタービンの単独性能に関するシミュレーションを行った。更なる検証データを取得し、プログラム中の粘性影響補正のための揚力勾配修正係数を見直し、実験結果と計算結果との良い一致を得た。二重反転プロペラ解析用SQCMを拡張し、タービン状態での二重反転プロペラの性能に関する試計算を行い、実験結果との比較から、SQCMによる二重反転タービンの性能計算が可能であることを確認した。また、以前から開発中の潮流タービンの構造解析プログラムについて、検証用プロペラを対象として、プロペラ合金製のオリジナルに対してCFRPを用いた場合の応力の概算を行い、設計上注意を要する技術的課題に関する知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、二重反転プロペラと超伝導発電機に関する専門家が集まり、両者の技術と知見を融合して新しい海潮流発電システムを構築するために、情報交換と議論を深めてきた。超伝導発電機の利点を活用するべく28年度に検討した電気設計を推し進め、発電機の各要素に関する性能について検討を深めることができた。また、既存のプロペラ設計解析技術を元に、二重反転タービン設計を行うための基盤的シミュレーション技術環境及び構造解析環境を整え、実験結果と計算結果とを比較した結果から、それらの技術環境の良好な適合性を確認した。 研究推進方策に対する情報収集と比較検討のために、海外で試験を行っている常伝導方式の潮流発電システムについての視察を行った。
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今後の研究の推進方策 |
発電機の界磁-電機子構造設計にもとづく解析と同期発電試験機により発電試験を継続して行う。連続運転とともに急激な負荷変動など海象に遠因するバルク界磁 磁束の劣化や熱侵入による温度の急速な上昇による磁束分布の変化などを考究し、電磁・熱解析などを併用して界磁-電機子構造について、概念実証から実用に至る工程が見えるように研究を進める。今年度開発した二重反転タービンの性能シミュレーションにより、二重反転タービンの性能予測計算を行い、タービン性能に重要なパラメータを分析するとともに、設計条件に対応する高性能二重反転タービン翼を設計する。今年度開発した二重反転タービンの性能シミュレーション計算法をリム付きタービンの性能計算が可能となるように改良する。低損失でコンパクト、かつ高効率な海潮流発電システムの成立性を明らかにするため、二重反転方式のタービン発電システムの設計を検討する。
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