研究実績の概要 |
申請者らは,過去に天然ガスを利用するガスエンジンの熱効率向上策の一方法として,高負荷運転において燃焼後半に発生する自着火を適切に制御して,ノックに至らず,圧力振動のない燃焼で終了させる方法がよいことを見出した.本研究では一回だけ燃焼が可能な圧縮・膨張機関を利用して,初期条件を変化させて,その燃焼過程を調査することが目的である. 2018年度は,PREMIER燃焼を実現するとともに,エンジンのシリンダヘッド上部のエンドガス部に相当する箇所に小さめの光学窓を設け,燃焼室の下部からと同時に高速度撮影をして,ちょうど上部の窓の位置で自着火させることが可能になった.この制御は試行錯誤が必要であった.画像処理によって,時刻ごとに増加する燃焼部分の面積を算出することが可能になり,平均的ではあるが,自着火燃焼部分の拡がり速度を算出することができた.シュリーレン光学系を構築するところまでは実施できたが,実際に撮影するには至らなかったので,これは2019年度(別課題)以降の課題とする. 3次元数値シミュレーションでは,計算の簡単化のために,軽油および天然ガスの代わりとして,C14H28およびCH4として計算を行った.すなわち,Golovitchevらが提案した軽油模擬燃料(C14H28)の詳細化学反応機構(71species,291reactions)を簡略化したもの(47species, 86 reactions)を使用した.素反応スキームの特性を崩さないままCH4の層流燃焼速度を最適化するために,C14H28簡略化素反応スキーム由来の反応群から対象反応を絞って,遺伝的アルゴリズムによる最適化に取り組んだところ,C14H28, CH4の着火遅れに対する影響を抑えつつ,CH4の層流燃焼速度が希薄条件において実験値に近い値を再現する結果が得られた.
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