研究課題/領域番号 |
16H04607
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研究機関 | 松江工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高尾 学 松江工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00332057)
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研究分担者 |
Alam Ashraful 松江工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (60759819)
高見 昭康 松江工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70259919)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 波力発電 / 振動水柱 / 流体機械 / ウエルズタービン / 衝動タービン |
研究実績の概要 |
振動水柱型波力発電では,往復気流の流体エネルギーを回転エネルギーに変換する装置として,往復気流で常に同一方向に回転する特殊な空気タービンが使用される.従来の多くの波力発電プロジェクトでは,この往復流型空気タービンとして1976年に英国で発明されたウエルズタービンが採用されている.しかし,このタービンは波高変動が大きく気流速度が増加すると,ロータへの流入気流の迎え角が増大し激しい失速が発生するため,タービン効率が著しく減少する.代表研究者らはこの欠点を克服するため,失速が発生しない往復流型衝動タービンをブースタータービンとして使用する,画期的なウエルズタービンの性能改善手法を提案している. 当該年度の研究では,小型の往復流型衝動タービンを利用したブースター付きウエルズタービンの性能について,数値流体力学を用いた性能解析と風洞を用いた性能試験により,定常流における本タービンの特性を調査し,ウエルズタービン単体の特性と比較した.その結果,以下の結論を得た. (1)ブースタータービンとして小型の往復流型衝動タービンを使用することで,高流量係数域における本タービンの効率とトルクが向上し,高流量域または低回転域の作動と起動の両特性を改善できる.(2)本タービンの効率は,メインタービンであるウエルズタービンとブースターである衝動タービンの直径比に強く依存する.(3)直径比の減少にともないブースタータービンへ流入する流量が低下することで,本タービンの効率はウエルズタービン単体のそれに近づく.(4)ブースタータービンの流量は,本タービンの失速点において最も低い値を示す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度において,以下の項目に沿って研究を遂行した. (1)供試タービンの設計<平成28年4月~平成28年8月>(2)供試タービンの製作<平成28年9月~平成29年1月>(3)タービン単体の性能試験(定常流)<平成29年2月~平成29年7月(予定)> 現在,項目(3)の性能試験を実施している。具体的には,風洞を用いたタービン性能試験装置により項目(2)で製作したタービン単体の定常流における特性(トルク係数,入力係数,効率)を求めるとともに,数値流体力学を用いた性能解析によりタービンの内部流動を調査している。 したがって,本研究は概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後2年間において,本研究は以下の項目に沿って実施する予定である. (1)タービン単体の性能試験(周期的往復流)<平成29年8月~平成29年11月>・・・非定常流として気流速度が時間に対して正弦波状に変化する周期的往復気流を採用し,タービン単体の非定常特性を調査する。(2)非定常流におけるタービン性能の数値解析<平成29年12月~平成30年3月>・・・数値流体力学を用いた性能解析により,本タービンの非定常特性を調査する。(3)ブースターを有するウエルズタービンの実証試験<平成30年4月~平成30年12月>・・・項目(1),(2)の結果で得られたブースター付きウエルズタービンの好適形状に従って実際に本タービンを構築し,風洞を用いたタービン性能試験を実施する。(4)総括<平成31年1月~平成31年3月>・・・項目(3)で得られた結果に基づいて本タービンを搭載した波力発電プラントの発電コストを予測するとともに,本タービンの有用性を評価する。
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