研究課題/領域番号 |
16H04609
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
中島 康晴 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 上席研究員 (30344237)
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研究分担者 |
ソーントン ブレア 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60526789)
藤田 豊久 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70124617)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海底熱水鉱床 / 分離手法 / 浮遊選鉱 / レーザー誘起ブレイクダウン分光法 / 品位 |
研究実績の概要 |
本年度は、海底鉱石選別ユニットに適用可能な品位計測法の検討と、分離手法の予備的な検討を実施した。計測手法の検討では、レーザー誘起ブレイクダウン計測法(LIBS)を用いた鉱石粒子の現場品位計測を行うため、管内中を流れる粒子を対象としてLIBS計測を行うための試験装置(チャンバ)を設計・製作した。LIBS計測において良い計測データを得るためには、レーザーの焦点付近に粒子を通過させるなどの工夫が必要であり、こうした点を考慮してチャンバの設計を行った。分離手法の検討では、粒子の比重や表面の濡れ性などの性質を利用して、有用元素を多く含む鉱石粒子と脈石粒子(有用元素をほとんど含まない粒子)とを選別する各種の手法の調査を実施した。比重差を利用する分離手法として、上下に動揺する板の上で粒子を流しながら分離するジグ選別や、粒子に作用する遠心力の差を利用するスパイラル選別などの手法が知られている。また、濡れ性の違いを利用する手法としては、水中に分散させた鉱石粒子を気泡に付着させて分離する浮遊選鉱(浮遊)が知られている。本研究では、深海底へ空気を送る込むコストを低減するため、気泡の代わりに油滴を利用する油浮遊の適用可能性を検討するため、予備的な実験を実施した。実験では、海底熱水鉱床の鉱石の代わりに、性状が近いとされる黒鉱を模擬鉱石として使用した。模擬鉱石を粉砕・ふるい分けして粒径の異なるグループに分級し、グループ毎に蛍光X線法による元素分析とレーザー回折法による粒度分析を実施して品位と粒度のデータを取得した。続いて、いくつかの浮選条件において油浮選試験を実施し、グループ毎に粒子の分離性能を検討した。なお、本年度の実験は全て常圧条件で実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測法の検討及び分離手法の検討の両方において、調査、試験装置の設計・製作、予備実験等を実施し、着実に研究を進めている。研究代表者と研究分担者で定期的にミーティングを実施し、進捗の管理やディスカッションを実施している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も本年度に引き続き研究を実施する。計測法の検討については、管内中を流れる粒子を対象としてLIBS計測を行い、品位計測データを蓄積してデータの解析及びデータベース化を行う。分離手法の検討については、高圧水中条件での油浮選の適用可能性を検討するため、観察窓付き高圧セルとデジタルマイクロスコープを用いて、高圧条件下において試料表面における水-油系の接触角の測定を実施する。接触角は表面の濡れ性の指標となる物性値であり、大気圧条件では様々な系のデータが知られているが、高圧条件における接触角のデータはほとんど知られていない。接触角の圧力依存性を検討することにより、高圧条件での浮選の適用可能性が検討できると期待される。また、比重や遠心力の差を利用する分離手法についても、小型の選別機等を用いて実験を行い、適用可能性を検討する予定である。
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