エネルギー資源開発で実施されるフラクチャリングにおいて、ボーリング孔を通して地下岩体に負荷した流体圧が、地表で人が感じる程度に大きな地震を発生させる原因を数値シミュレーションに基づいて考察した。その結果、負荷した流体圧が付近の既存断層に及ぶと、MPaオーダーの変化でもkm2オーダーの広い範囲が瞬間的にすべり得ることがわかった。ただし、すべり速度が増えると摩擦係数が減少する特性と、断層面に作用するせん断応力が比較的大きい臨界状態にあることが条件となる。したがって、開発対象地域にある断層の摩擦特性と、周囲の応力状態を事前に把握することで有感地震の発生を予測し、さらに、その対策が可能と考えられる。
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