研究課題/領域番号 |
16H04618
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
上杉 喜彦 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (90213339)
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研究分担者 |
石島 達夫 金沢大学, サステナブルエネルギー研究センター, 教授 (00324450)
田中 康規 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (90303263)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | プラズマー材料相互作用 / トリチウム吸蔵 / 窒素スカベンジャー効果 / 水素・不純物共堆積膜 / プラズマー壁相互作用 / 熱核融合 / カーボン材 / 水素化炭素膜 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、窒素添加による水素同位体吸蔵抑制効果について調べ,堆積膜成長抑制過程における窒素の役割について検討を行った.実験にはヘリカル装置であるHeliotron-DRを用いた.実験条件として,ガス流量は水素および重水素20 sccm,メタン2 sccm,重水素化ベンゼン2.1 mg/min,窒素0-2 sccmとした.また閉じ込め磁場としてヘリカル磁場200 G,トロイダル磁場40 Gを印加し,投入電力は定常2.4 kWとした.生成したプラズマの電子温度は7-10 eV,電子密度は(1.0-2.2)×1016 m-3である.評価方法として,プラズマの発光を分光観測,排気ガスを四重極型質量分析で測定することで生成粒子を観測し,試料上に生成した堆積膜の膜厚については分光エリプソメータを用いて測定している. D2/C6D6プラズマに窒素を添加した際に実験容器内に吸蔵される重水素原子数を実験的に評価した結果、プラズマ内の N/Cの比に比例して容器内に吸蔵される重水素原子数が減少していることが明らかになった.これまでにD2/C6D6プラズマに窒素を添加すると、炭素堆積膜成長が抑制されることを見出しているが、今回の結果は堆積膜成長の抑制が水素同位体吸蔵の抑制に効果があることを示している。 また、H(D)/C/Nの混合割合を変えたプラズマにより生成された堆積膜厚の試料温度依存性を調べた結果,D2/C6D6/N2プラズマでは堆積膜成長が抑制されているが,水素化堆積膜へのN2プラズマ照射において堆積膜厚は逆に上昇していることが確認された.これは、窒素プラズマ生成による発生した窒素原子が炭化水素膜に吸収され、その結果として膜厚が大きく上昇したと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水素または重水素プラズマ中にメタンまたはベンゼンを導入し、水素(重水素)を含んだ炭素膜堆積が起こるプラズマー壁相互作用系において、新たにレーザブローオフによりプラズマ中に導入される金属不純物粒子を加えた水素・不純物粒子共堆積膜を生成できるように実験系を改良し、初期実験により複数の不純物を含んだ共堆積膜の生成が出来ることを確認した。 また、レーザ誘起ブレイクダウン分光法による堆積膜組成分析のその場観察が行うための準備を行い、その有用性も確認している。今後、整備した実験装置群を用いて、研究が進展することが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
タングステン等の高融点金属やステンレス材などの多様な金属不純物を含んだ堆積膜中に吸蔵される水素(重水素)量の評価を行うとともに、窒素および炭素を水素(重水素)プラズマに添加した場合の水素系粒子挙動の解明と堆積膜中への水素系粒子吸蔵低減効果を明らかにする予定である。
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