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2016 年度 実績報告書

堆積層およびダストの循環的利用による新しいダイバータ板上の熱負荷の低減手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16H04619
研究機関核融合科学研究所

研究代表者

庄司 主  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00280602)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワードダスト / ダイバータ / 熱負荷低減 / プラズマ / 核融合炉
研究実績の概要

平成28年度においては、当初の計画通り、主にダストホッパーの設計と製作、ダスト放出および、ダスト源となる堆積層を細かく砕くために使用する真空対応ピエゾアクチュエータ専用のピエゾコントローラーを購入した。その他、当該研究計画に関連する研究成果を第22回制御核融合装置におけるプラズマ表面相互作用国際会議(2016年5月30日~6月3日、ローマ・イタリアにて解析)および、第11回核融合エネルギー連合講演会(2016年7月14日~15日、九州大学伊都キャンパス)にて発表した。
ダストホッパーを製作するにあたっては、まず大型ヘリカル装置(LHD)に設置されている2台の試料駆動装置(4.5-Lおよび、10.5-L)の現状調査を実施して、当初の研究計画をどちらの駆動装置で実施するのが有利なのか総合的に判断した。その結果、10.5-Lのほうが有利であることが分かったので、ダストホッパーを試料駆動装置(10.5-L)に設置するのに最適な形状・仕様とした。
LHDの長時間放電プラズマがダイバータ領域からの大量のダスト放出によって突然停止している。そのため、まずは、ダスト放出面に形成される堆積層(ダスト源)を系外に排出できることを実証するのが先決であると判断し、ダストホッパーの形状を最適化させた。本装置は、LHDのダイバータプラズマに接近させるため、磁場の影響を受けにくいSUS316で構成するようにした。また、ダスト放出面もSUS316の円盤とし、その背面をピエゾアクチュエータが押し出す構造とした。ダスト放出面上でピエゾアクチュエータによって細かく砕かれた堆積層(ダスト)はダストホッパーの下部の脇に設けられた小型のダストポケットに集められるようにした。
今後は、このダストホッパーのダスト放出面に模擬的な堆積層を塗布して、その性能をテストスタンドにて確認するとともに、更なる改良を施す計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、平成28年度においては、主にダストホッパーの設計と製作を行うことになっていた。平成28年度末までにこの計画は達成されたので、現在までの進捗状況の区分としては、「(2)おおむね順調に進展している。」を選択した。本装置(ダストホッパー)の性能評価と更なる改良は今後引き続き実施していく予定であるが、大型ヘリカル装置(LHD)では平成29年の末から重水素実験開始され、本装置の放射化(プラズマ中の核融合反応に伴って発生する中性子の影響)の影響と、構成機器(主にピエゾアクチュエータとコントローラー)の放射線(主に中性子線とガンマ線)に対する影響に新たに注意する必要が出てきた点に留意しなければならないと考えている。平成29年度以降の機器設計・製作および、研究計画の遂行に当たっては、この放射線が機器に与える影響について十分に配慮したいと考えている。

今後の研究の推進方策

平成29年度以降は、試料駆動装置(10.5-L)の先端部に今後設置する予定のダストホッパーの状態を至近距離から観測するための真空対応イメージファイバーを設計・製作する計画である。このイメージファイバーを試料駆動装置の可動ロッド内部に敷設・設置するために、あらかじめ平成28年度中にプラスチック製の模擬的なファイバーを敷設する作業を行った。その結果、敷設作業には大きな問題は無いことが確認され、イメージファイバーの最適な長さと径の大きさを求めることができた。また、核融合科学研究所の倉庫(機材庫)において現在使用されていないイメージファイバー(旧LIDヘッド監視用)が存在することが分かったので、今後、このイメージファイバーを有効に活用することを検討している。平成29年度の当初に、このファイバーを製作した会社(三菱電線工業)に送り返して、その健全性と有効性を確認する作業を行っていただく予定である。本ファイバーの健全性が確認され次第、試料駆動装置の可動ロッド内部に敷設するために、ファイバー先端部の形状と仕様の最適化を施す(長さの変更、細径化など)。その後、平成29年度の末くらいに可動ロッド内部に敷設する作業を行う計画である。また、ダストホッパーの駆動と観測に必要となる各種ケーブル、光学機器の設計と製作および、試料駆動装置への設置作業も合わせて実施する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Simulation analysis of carbon deposition profile in the closed helical divertor configuration in the Large Helical Device2016

    • 著者名/発表者名
      M. Shoji, G. Kawamura, H. Tanaka, I. Watanabe, M. Kobayashi, M. Tokitani, S. Masuzaki, and the LHD Experiment Group
    • 雑誌名

      Contributions to Plasma Physics

      巻: 56 ページ: 651-656

    • DOI

      10.1002/ctpp.201610059

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Observation of termination process of long pulse plasma discharges using stereoscopic fast framing cameras in the Large Helical Device2016

    • 著者名/発表者名
      M. Shoji, H. Kasahara, H. Tanaka, T. Murase, M. Tokitani, S. Morita, M. Goto, T. Oishi, T. Mutoh, E. de la Cal, C. Hidalgo, and the LHD Experiment Group
    • 雑誌名

      Plasma and Fusion Research

      巻: 11 ページ: -

    • DOI

      10.1585/pfr.11.2402056

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Simulation of Impurity Transport in the Peripheral Plasma due to the Emission of Dusts in Long Pulse Discharges on the Large Helical Device2016

    • 著者名/発表者名
      M. Shoji, G. Kawamura, R. Smirnov, A. Pigarov, Y. Tanaka, S. Masuzaki, Y. Uesugi, and the LHD Experiment Group
    • 雑誌名

      Research Report NIFS-PROC

      巻: 102 ページ: 110-114

    • 国際共著
  • [学会発表] 大型ヘリカル装置におけるエルゴディック層によるダスト遮蔽効果のシミュレーション解析2016

    • 著者名/発表者名
      庄司 主, 河村 学思, R. Smirnov, A. Pigarov, 田中 康規, 増崎 貴, 上杉 喜彦, LHD実験グループ
    • 学会等名
      第33回 プラズマ・核融合学会 年会
    • 発表場所
      東北大学青葉山キャンパス
    • 年月日
      2016-11-29 – 2016-12-02
  • [学会発表] Simulation analysis of the dust shielding effect by the ergodic layer in long pulse plasma discharges in LHD2016

    • 著者名/発表者名
      M. Shoji, G. Kawamura, R. Smirnov, A. Pigarov, Y. Tanaka, S. Masuzaki, Y. Uesugi, and the LHD Experiment Group
    • 学会等名
      The 10th A3 Foresight Program Workshop
    • 発表場所
      Jeju, Korea
    • 年月日
      2016-11-22 – 2016-11-25
    • 国際学会
  • [学会発表] 大型ヘリカル装置(LHD)の長時間放電におけるダスト放出時の周辺プラズマ中の不純物輸送シミュレーション解析2016

    • 著者名/発表者名
      庄司 主, 河村 学思, R. Smirnov, A. Pigarov, 田中 康規, 増崎 貴, 上杉 喜彦, LHD実験グループ
    • 学会等名
      第11回 核融合エネルギー連合講演会
    • 発表場所
      九州大学伊都キャンパス
    • 年月日
      2016-07-14 – 2016-07-15
  • [学会発表] Simulation of impurity transport in the peripheral plasma due to the emission of dusts in long pulse discharges on the large helical device2016

    • 著者名/発表者名
      M. Shoji, G. Kawamura, R. Smirnov, A. Pigarov, Y. Tanaka, S. Masuzaki, Y. Uesugi, and the LHD Experiment Group
    • 学会等名
      22nd International Conference on Plasma Surface Interactions 2016
    • 発表場所
      Rome, Italy
    • 年月日
      2016-05-30 – 2016-06-03
    • 国際学会
  • [学会発表] Simulation of Impurity Transport in the Peripheral Plasma due to the Emission of Dusts in Long Pulse Discharges on the Large Helical Device2016

    • 著者名/発表者名
      M. Shoji, G. Kawamura, R. Smirnov, A. Pigarov, Y. Tanaka, S. Masuzaki, Y. Uesugi, and the LHD Experiment Group
    • 学会等名
      The 9th A3 Foresight Program Workshop
    • 発表場所
      Yinchuan, China
    • 年月日
      2016-05-17 – 2016-05-20
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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