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2019 年度 実績報告書

堆積層およびダストの循環的利用による新しいダイバータ板上の熱負荷の低減手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16H04619
研究機関核融合科学研究所

研究代表者

庄司 主  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00280602)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワードダスト / ダイバータ / 熱負荷低減 / デタッチメント / 画像計測 / ボロン / 不純物粒子落下 / 周辺プラズマ
研究実績の概要

2019年度は本研究に使用するためのイメージガイドスコープの製作を進めた。なお、LHDの実験期間中に、2018年度から製作を継続していたイメージガイドスコープに仕様の変更(主にファイバー長の延長)が必要になることが判明した(LHDプラズマの想定以上の高性能化の進展がその理由である)。そこで、急遽2019年度の予算の大半を2020年度に繰り越すことによって、イメージガイドスコープの仕様をLHDの現状に即したものとなるようにした。繰越予算にて仕様を変更した後、2020年度の予算によって本装置を完成させた。
また、2019年度に米国プリンストンプラズマ物理研究所との国際共同研究でLHDに不純物粒子落下装置(IPD)が導入されることになったので、本装置と相補的に組み合わせて研究を推進した。2020年度においてダイバータレック部および、エルゴディック領域に主に不純物(ボロン)のダスト粒子を供給することで、周辺プラズマの温度を下げることを試みた。その際、ダストが周辺プラズマ領域の温度低下および、ダイバータ部の熱負荷の低減に寄与している様子を、本研究によって整備したステレオ視高速カメラ、試料駆動装置等を利用して観測した。IPDからボロン等のダストを供給させたところ、プラズマの放射輝度の上昇、プラズマ中のボロンの放射強度の増加および、電子密度の漸増を観測した。一部のダイバータ部でイオン飽和電流の低減が観測されたが、他のダイバータ部においては顕著な変化は観測されなかった。
ダイバータ部の熱負荷の更なる低減のために、ダストの供給量を増加させると、プラズマ全放射輝度が急激に上昇して、放電の維持ができなくなることが分かった。現状のIPDでは、ダイバータ部の熱負荷の低減とプラズマの維持との両立が難しい。IPDの設置場所を最適化してダイバータレッグ部にダストが供給するのが良策であるとの結論を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年度のLHDの実験期間中において、LHDのプラズマが当初の想定以上に高性能化したことによって、2018年度から製作を継続していたイメージガイドスコープに一部仕様の変更が必要となることが判明した(主にファイバー長の延長が必要となった)。そこで、急遽、2019年度に予定していたイメージガイドスコープの製作を一旦中止した後、2019年度の予算の大半を2020年度に繰り越すことによって、イメージガイドスコープの仕様をLHDの現状に即したものとなるように変更した。
2019年度に不純物粒子落下装置(IPD)が導入されたので、この装置も有効活用して研究を進めることとした。2020年度のLHD実験において、本科研費で整備した機器とIPDとを連携させて研究を推進した結果、ダイバータ部の熱負荷の更なる低減のためにダストの供給量を増加させると、プラズマ全放射輝度が急激に上昇して、プラズマの放電の維持ができなくなってしまった。現状のIPDの配位(設置場所・設置数など)では、「ダイバータ部の熱負荷の低減」と「プラズマの安定維持」との両立が難しいことが分かった。今後は、IPDの設置場所を最適化するとともに、エルゴディック領域ではなくダイバータレッグ部付近に局所的ダストを供給できるような改良が必要である。研究のための装置の整備は進捗したが、当初の研究目的には到達できなかったので、区分を「(3) やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

2019年度では、ダスト落下装置(IPD)によって、LHDプラズマ中に落下させたボロンおよび窒化ボロンのダストの軌道と挙動の初期的な実験データを取得することができた。本科研費で整備したステレオ視高速カメラ等も合わせて利用することによって、周辺プラズマ(ダイバータレック部および、エルゴディック領域)中のダストの挙動を高い時間分解能で観測することができた。また、プラズマ閉じ込め磁場配位の違いによって、その挙動に大きな差異があることが分かった。
2020年度では、イメージガイドスコープの製作と試験を完了させるとともに、2019年度で得られた研究成果を活用して、ダストによる本格的なダイバータ部熱負荷の低減実験を行うこととした。IPDとステレオ視高速カメラ等を活用することによって、本研究の主な目的であるダストの利用によるダイバータ部の熱負荷低減を実現するための有益な情報を得ることができた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] Princeton Plasma Physics Laboratory/UCSD(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Princeton Plasma Physics Laboratory/UCSD
  • [雑誌論文] Radiation Resistant Camera System for Monitoring Deuterium Plasma Discharges in the Large Helical Device2020

    • 著者名/発表者名
      M. Shoji
    • 雑誌名

      Plasma and Fusion Research

      巻: 15 ページ: 2402039

    • DOI

      10.1585/pfr.15.2402039

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Comparative Analysis of Impurity Transport in the Peripheral Plasma in the Large Helical Device for Carbon and Tungsten Divertor Configurations with EMC3-EIRENE2019

    • 著者名/発表者名
      M. Shoji, G. Kawamura
    • 雑誌名

      Plasma and Fusion Research

      巻: 14 ページ: 3403057

    • DOI

      10.1585/pfr.14.3403057

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Radiation Resistant Camera System For Monitoring Deuterium Plasma Discharge In The Large Helical Device2019

    • 著者名/発表者名
      M. Shoji
    • 学会等名
      28th International Toki Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Full-torus Impurity Transport Simulation for Optimizing Plasma Discharge Operation Using a Multi-species Impurity Powder Dropper in the Large Helical Device2019

    • 著者名/発表者名
      M. Shoji, G. Kawamura, R. Smirnov, Y. Tanaka, S. Masuzaki, Y. Uesugi, N. Ashikawa, E. Gilson, R. Lunsford
    • 学会等名
      17th International Workshop on Plasma Edge Theory in Fusion Devices
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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