研究課題
本研究期間中に米国プリンストンプラズマ物理研究所との国際共同研究でLHDに不純物粒子落下装置(IPD)が導入されることになったので、本装置と相補的に組み合わせて研究を推進した。なお、このIPDは既存設備との関係から、上部ポート(一箇所)に設置された。2020年度においてはダイバータレック部および、エルゴディック領域に主に不純物(ボロン)のダスト粒子を供給することで、周辺プラズマ領域の温度(電子温度を計測)を下げることを試みた。その際、ダスト粒子が周辺プラズマ領域の温度低下および、ダイバータ部の熱負荷の低減に寄与している様子を本研究によって整備したステレオ視高速カメラ、試料駆動装置等を利用して観測した。典型的なプラズマ放電中において、IPDからボロン・窒化ボロンのダストを供給させたところ、プラズマの全放射輝度の上昇、プラズマ中のボロンの放射強度(BIIIとBV)の増加および、電子密度の漸増を観測した。この実験では、ダイバータ部の熱負荷の指標として、ダイバータ部に流れ込むイオン飽和電流に着目した。ボロンダストが落下している時間帯において、一部のダイバータ部でイオン飽和電流の低減が観測されたが、他のダイバータ部においては顕著な変化は観測されなかった。ダイバータ部の熱負荷の更なる低減と、熱負荷が低減される領域を拡張させるために、IPDからのダストの供給量を増加させると、プラズマ全放射輝度が急激に上昇して電子温度が急減することによって、放電の維持ができなくなることが分かった。現状のIPDの設置場所と数では、ダイバータ部の熱負荷の低減と、プラズマの安定的な維持との両立が難しい。今後は、IPDの設置場所を最適化して、エルゴディック領域ではなくダイバータレッグ部に近接する場所にダストが供給されるようにするとともに、異なる上部ポート等にIPDを増設するのが良策であるとの結論を得た。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plasma and Fusion Research
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