研究課題/領域番号 |
16H04632
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神野 郁夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (50234167)
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研究分担者 |
櫻井 良憲 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (20273534)
田中 浩基 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (70391274)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ホウ素中性子捕捉療法 / B-10濃度分布 / 電流測定 / transXend検出器 / アンフォールディング |
研究実績の概要 |
初年度は,直径5cmの領域ががん組織であるとして,その内部にホウ素10(B-10)が濃度10,20,30,40,50ppmで含有されるとして,シミュレーション計算を行った.その際,周囲の正常組織部分にはB-10が10ppm含有されるとした.しかし,直径5cmのがんは,頭部がんとしては,大きすぎる.このため,がん組織を直径2cmとして,初年度と同様のシミュレーションを行った.しかし,がん組織のB-10の中性子反応により放出される478keVのガンマ線数が少なく,有意な信号を得ることができなかった. 一方,TlBrを要素検出器とするtransXend検出器を用い,下限数量以下のRI線源Co-60から放出されるガンマ線を測定したが,この測定はホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の場で行う電流測定ではなく,個々のガンマ線のエネルギー測定するパルス測定であった.パルス測定で得られたエネルギースペクトルを電流値に変換し,アンフォールディング解析を行う.しかし,BNCT場におけるガンマ線の数は,パルス測定することが困難なほどに多数ではあるが,電流測定できるほど,多くはないことが判明した.このため,実験室でパルス測定し,その結果を電流値に変換することの意義が,不明となった.このため,ガンマ線数が少なくても,電流測定が可能な測定法の検討を開始した. まず,電流測定装置において,電流として測定された電荷を蓄積し,信号を大きくする方法を検討した.しかし,電流敏感型前置増幅器は雑音レベルが高いため,信号が雑音に埋もれてしまうことが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
頭部のがん組織の大きさを実際的な大きさ,直径2cmとすると,シミュレーション計算においても,信号が雑音に埋もれることが判明した. パルス測定ができないほど大量のガンマ線が存在する場において,transXend検出器を用いて信号も雑音もともに電流測定し,解析により信号を取り出すことが可能であることを示した.しかし,BNCT治療場においては,電力を用いてX線を発生させるX線管からのX線ほど大量の光子はないので,電流測定が困難であることが判明した.
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今後の研究の推進方策 |
頭部のがん組織が直径2cmの場合でもがんの有無,場所がわかる測定法を開発する必要がある. X線管から放出されるX線よりも2桁ほど少量のガンマ線を電流測定できる測定法を開発する.
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