研究実績の概要 |
金属基盤固体酸化物電気分解セル(MS-SOEC)を改良し、電気分解性能の向上を進めた。MS-SOECの金属材料としては熱膨張係数がセラミックスに近いSUS430などの400番台系を含むFe-Cr フェライト系合金、Cr 基合金、Ni基合金を候補とした。金属基盤にガス拡散向けのμmオーダーの細孔を多数開けた。SOEC本体のアノード、カソード層は大気プラズマスプレー法(APS)を用いた。さらにSUS430を金属基板と用いる場合、含有するCrが接触するカソード材料を被毒させるリスクがあったので、拡散防止層を形成した。金属基盤の防食のため、大面積基板への適用が容易な電気めっきによる表面被覆の検討を並行して進めた。得られたセルは両面を管状のガラスを間にしてセラミックチューブで挟み電気炉内に設置した。電気炉で加熱し、挟んだ管状ガラスを溶解させ、挟み込んだ接合面のシールを行った。 これらの準備後、CO2電気分解試験を行った。反応温度、CO2分圧を固定した後、ポテンショメーターを用いて電流-電圧を印加し電気分解特性を測定した。電気分解時に生成するCO、酸素量をガスクロマトグラフィーで分析し、電気分解効率を測定した。その結果、姥目的のCO2の電気分解によるCO、O2の生成を確認し、製作したセルがMS-SOECとして機能することを実証した。MS-SOECでのCO2電界の報告は他に無く、恐らく世界最初の成果と考えられた。なお、反応時の経時変化をSEM,XRD等で観察、測定し、十分な耐久性を確認した。金属基盤の防食についてはSOFC要素技術としてすでに研究を進めてきたコバルトータングステン合金めっきに加えて,コバルトをベースとした幾つかの合金めっきの可能性を探索した。 以上より、当初計画したMS-SOECの製作と、作動実証ができたことで、研究目的を達成したと判断された。
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