本研究では大型太陽集光システムで得られる~1000℃の高温太陽集熱を利用し、炭素資源を反応器の連続供給しながら高温熱でガス化を行う「連続供給型の流動層ソーラーガス化水素製造システム」の開発を目的としている。 平成30年度は流動媒体として粒子径200-300ミクロンの狭い粒子径分布を有する石英砂を流動媒体として用い、炭素資源として粒子径100-300ミクロンの粒径分布を有する石炭コークスを用いガス化反応器試験を実施した。すなわち、石炭コークスをスクリュ―フィーダーによりガス化反応器に連続的に供給する「炭素資源の連続供給系」と、石英窓を有する直接集光照射型の流動層反応器から成る「ガス化反応系」を連結した炭素資源の連続供給型ガス化システムを構築し、集光シミュレータによる集光照射でのガス化性能を評価した。その結果、石炭コークスの連続供給下でガス化反応器が進行し、集光照射によるガス化反応が進行することを明らかにした。この結果から水素製造システムが設計通り作動していることがわかった。ガス化試験は、1)40%出力による集光照射による予備加熱過程(~450℃)、2)100%出力による集光照射による流動層形成過程(450~950℃)、3)集光照射加熱による水蒸気ガス化過程(950~1200℃)で行った。ガス流量は1.25Umf~1.50Umf(Umf:最小流動化速度)が流動性が良好であり、流動層温度1000~1200℃が得られた。流動層内の温度分布は極めて小さく、ガス流量1.25Umfにおいてエネルギー転換率および炭素転換率が最も高くなることを見出した。
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