研究課題/領域番号 |
16H04650
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, フェロー (40162325)
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研究分担者 |
阿部 学 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (10334674)
夏目 里恵 新潟大学, 脳研究所, 技術職員 (60467082)
中務 胞 新潟大学, 脳研究所, 助教 (60641579)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マーモセット / 異種動物間キメラ / ES細胞 / 胚盤胞補完法 |
研究実績の概要 |
ヒトの脳機能と疾患を理解する上で霊長類モデルの利点は言を待たないが、多くの研究者が多様な発想で遺伝子改変マーモセットを用いるには経済的・倫理的障壁があり、現実的に困難である。本研究の目的は、マーモセットでの遺伝子改変を安価かつ動物福祉的にも問題のない手法でおこなえるよう開発することである。このために必要な、3つの基盤的項目について研究開発を進めている。第1に、安価且つ動物福祉的にもかなった手法でマーモセット受精卵を取得する方法を検討する。廃用個体や死亡個体から取得した卵巣組織を他の施設から分与を受け、これら組織を細切して卵巣除去したヌードマウスの皮下及び腎臓被膜下に移植した。移植したマウスにマーモセット卵子の成熟に必要なホルモン投与量と方法の検討をおこない、移植片からの卵子の取得に成功した。 第2に、マーモセットの飼育と繁殖を我々の研究施設で開始して、マーモセットの発生工学の準備をする。動物実験施設の受け入れ準備が整わず、納入が先送りになっていたマーモセットを購入できたので、早速交配させ、産子を得ることができた。第3は、マーモセットES/iPS細胞をマウス胚に移植する異種動物間キメラ法であるが、使用する2種類のマウスFTB-Tg(Ddx4-Cre)1Dcas/Jと129-Gt(ROSA)26Sortm1(DTA)Mrc/Jの遺伝子背景を細胞免疫不全にする必要がある。そのために、これら2種類のマウスとヌードマウスとの交配を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1のマーモセット受精卵を廃用個体や死亡個体から取得した卵巣組織を用いて作製する方法であるが、複数のマーモセット飼育施設から卵巣の提供を受けた。それら組織を細切して卵巣除去したヌードマウスの皮下及び腎臓被膜下に移植した。移植マウスにホルモン投与して、成熟卵胞を作らせて、成熟卵子を取得することに成功した。第2の、マーモセットの飼育と繁殖を我々の研究施設で開始して、マーモセットの発生工学の準備をすることに関しては進展があった。飼育開始したマーモセットを交配させた結果、雌雄の産子を1匹ずつ得ることができた。第3のマーモセットES/iPS細胞から、ナイーブ化した状態のマーモセットES細胞の樹立については、これまで既存の細胞を用いて、その形態と発現する未分化遺伝子を指標として各種培地を検討してきたが、未だその条件を決定できないでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き、廃用個体から採取したマーモセット卵巣をヌードマウスに移植して、成熟卵子が効率的に採取できるホルモン投与方法を確立する。また、本研究を推進する上で最も困難なのは、ナイーブ化した状態のマーモセットES細胞の樹立である。これまで、既存の細胞を用いて、その形態と発現する未分化遺伝子を指標として各種培地を検討してきたが、未だその条件を決定できていない。そこで今後は、今年度までに整備してきた、免疫不全の遺伝子背景を持つ精巣形成不全マウスコロニーを利用して、当該マウス胚を採取してES細胞を注入したキメラ動物を作出する。これらキメラマウスを形態学的に解析することで、ES細胞のナイーブ化の検証を進める。
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