研究課題/領域番号 |
16H04652
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
西条 寿夫 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (00189284)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サリエンス / 上丘 / 顔 / ヘビ / 内側前頭前野 |
研究実績の概要 |
1. 上丘ニューロンによる生物学的サリエンス注意機構: 上丘に顔の鋳型が存在するか神経生理学的に明らかにするため、顔輪郭内の目、鼻、口などの位置変更、顔輪郭の有無、および画像の明暗反転などを操作した種々の顔の線画(40種類)に対する、サル上丘ニューロンの応答を記録した。本年度は、中心視野領域のニューロン記録を主に行ない、上丘ニューロンが上下反転ならびに白黒反転に関係なく、顔画像に応答性が高いことが明らかになった。 2. 上丘ニューロンによる時間的サリエンス注意機構: 単純幾何学図形からなる見本刺激を遅延期をおいて繰り返し呈示し、最後にターゲット刺激を呈示する遅延非見合わせ課題をサルに訓練した。ついで、同課題の遅延期において漸増応答を示す上丘深層ニューロンを記録し、見本刺激数を4(遅延期を4回挿入する)、および遅延期間を2秒に固定して、報酬量のみ変化させ、遅延期漸増応答を解析した。その結果、1)報酬増大により遅延期漸増応答が増大する、2)報酬呈示直前に遅延期において最も反応が大きいことなどが明らかになり、上丘深層ニューロンが報酬期待(予測)に関与することが明らかになった。 3. 前内側前頭葉ニューロンによる生物学的サリエンス注意機構: 合計8カテゴリー32種類からなる視覚刺激[ヘビ画像4種類、サルの顔画像4種類、サルの手画像4種類、単純幾何学図形4種類、ヒトの顔画像4種類、肉食動物(豹、虎など)4種類、非肉食動物4種類(げっ歯類、家兎、鶏)、及び猛禽類(ワシなど)4種類]を用いて、サルに遅延非見本合わせ課題を訓練した。本年度は、前内側前頭葉の背側部ニューロンの活動記録を主に行ない、応答ニューロン数は少ないがヘビに応答性が高いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標であるサル上丘及び内側前頭前野ニューロン活動の記録を予定通り行なうことができた。また、本年度において研究棟が耐震改修となったため、本申請課題と関連するサル上丘ニューロンのヒト顔写真に対する応答を再解析し、上丘において顔画像の性別、顔方向、および個人の識別をポピュレーションコーディングにより符号化していることが明らかになった。また以前に記録したサル内側前頭前野ニューロンの他サルに対する応答を再解析し、内側前頭前野の特に前部帯状回皮質膝前部において他サルに対する応答性が高いことが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
所属研究室のある研究棟が耐震改修を行ったため研究が一部遅れたが、研究を動物実験施設で行うことにより予定通り遂行できた。今年度内に耐震改修後の研究棟の整備並びに実験室の再セットアップが完了したため、今後、所定の計画にしたがって計画を執行していく予定である。また、以前のデータの再解析(上述)により、内側前頭前野の腹側部(前部帯状回皮質膝前部)が生物学的サリエンスに応答性が高いことが判明し、今後内側前頭前野の腹側部を重点的に記録していく予定である。
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