研究実績の概要 |
draxinはnetrin受容体であるDcc, Neogenin(Neo1), Unc5s, Dscamに結合する。我々は脳梁神経においてDccが機能的なdraxin受容体であることを報告した(Journal of Neuroscience, 31, 14018-14023, 2011)。一方、draxin -/-マウスにおける視床皮質軸索の投射異常は上記受容体の変異マウスでは観察されない。これまでの研究結果から、draxin とdccの複合変異マウスが視床皮質軸索投射に異常を示すことが分かっていた。従って、Dccとその他の受容体が協調してdraxin受容体として働く可能性が考えられた。そこで、neo1, unc5s, Dscam変異マウスに関しても、draxinとの複合変異マウスを作製し、それらの表現型を解析した。その結果、draxin/neo1複合変異マウスにおいてのみ、視床皮質軸索投射の異常が観察された。次に、neo1/Dccの複合変異マウスを作成し、視床軸索投射を観察した。重要なことに、neo1/Dccの複合変異マウスの視床皮質軸索は、draxin -/-マウスにおける視床皮質軸索の投射異常に酷似していた。これらの結果から、neo1とDccが機能的に重要なdraxin受容体であると考えられた。今後、draxinの濃度依存的な軸索制御活性にこれらの受容体が重要であるかどうかを変異マウス由来の視床神経の培養実験により調べる。
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