研究課題
ゼブラフィッシュの運動をモデルとして、触覚に関連する分子を同定し、その機能を解析することを目指している。昨年度に引き続き遺伝学的手法を用いて、触刺激応答の変異体ゼブラフィッシュの単離を行った。触刺激以外にも光刺激、音刺激、水流刺激などた他の感覚刺激に対する応答も観察し、触刺激応答に異常がある変異体に注目して、詳細な解析を進めた。原因遺伝子の同定にあたっては、変異のキャリア個体を遺伝的多型の多い野生型系統と交配して、変異をヘテロにもつ個体を得て、それら同士を交配して次の世代でホモ変異体を得る順遺伝学と次世代シーケンサによる変異同定を並行して進めた。責任遺伝子が同定されたものの中でも、小胞体タンパク質をコードするものについて特に注目して解析を進め、感覚ニューロンに異常があることを電気整理解析で明らかにした。また、ゼブラフィッシュの運動を定量解析する実験系の構築を行い、人工的な水流の中で水流速度でゼブラフィッシュを泳がせ、水流速度を徐々に上げていき、ゼブラフィッシュが水流にあらがっておよぐことができなくなるところまでこれを続けるスイムミルを確立した。これを用いることで、ゼブラフィッシュはメスとオスで運動能力に差がないことを見出した。また、高いパフォーマンスを発揮する環境条件として、水温が16度から30度が適温であることが分かった。低温としては12度、高温としては38度でほとんど泳げなくなることが分かった。泳ぎにはひれが重要であるが、尾ひれの長さは通常5~10ミリ(mm)で、尾ひれの長い系統は15~25ミリである。尾ひれを切って泳がせる実験から、尾ひれの長さは5ミリのときに運動パフォーマンスが最大化することが分かった。ゼブラフィッシュにはAB, TU, WIK, TLなどの異なる系統があるが、これらを比較するとWIKの運動パフォーマンスが低く、これが遺伝形質であることも確認された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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