並列処理は感覚情報処理の基本である。例えば視覚系は、眼で受け取られた視覚風景の中から「色」「線の傾き」「動き」といった異なる特徴を抽出して並列処理することで、エッジの効いた属性情報へと転換し、我々が「物をどう見るべきか」を一義的に決めている。本研究では、代表者が新規開発した「誕生日タグづけ法」を用いることで、嗅覚系にも並列回路が存在することを明らかにした。この結果は、動物が、同一セットの匂い情報の中から、何らかの特徴を抽出し強調して、異なる出力へとつなげる複数のチャネルをもつことを意味している。今後「誕生日タグづけ法」を利用して、嗅覚がもつ複数のチャネルの機能的意味に迫りたい。
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