研究課題
脳の情報処理・発信におけるグリア細胞機能の重要性が明らかにされつつある。本研究ではグリア細胞「アストロサイト」が貪食によりシナプス刈込みとネットワーク再構築を行うこと及びそのメカニズムを明らかにした。これまでシナプスの刈込みは、神経細胞の自律性、及びミクログリアの貪食に起因すると考えられてきた。しかし、脳卒中後期では、ミクログリアではなくむしろアストロサイトが積極的にシナプスを貪食していた。また、アストロサイトによるシナプス貪食は、傷害の中心部位(コア領域)ではなく、コア領域を取り囲むペナンブラ領域で強く認められた。脳卒中直後のコア領域の貪食はミクログリアが担っていた。また、アストロサイトはシナプスと同程度(1um程度)の物質を貪食するのに対し、ミクログリアは大型の細胞断片や細胞そのものを貪食していた。アストロサイトによる貪食メカニズムを検討した。貪食に関係する受容体・分子群は既に多く知られており、これらがアストロサイトにも発現していることが分かっている。これらを網羅的に解析したところ、脳卒中後にアストロサイトで発現亢進する貪食関連分子として、ABCA1を見いだした。ABCA1の発現亢進はペナンブラ領域のアストロサイトに限局していることを免疫染色法及びin situ hybridizationにより明らかとした。さらにアストロサイト特異的ABCA1欠損マウスでは、アストロサイトの貪食が消失することが明らかとなった。また、ABCA1の過剰発現はシナプス貪食を亢進させた。以上、アストロサイトが脳卒中後のペナンブラ領域で貪食性を獲得すること、シナプス貪食によりペナンブラ領域の神経ネットワーク再構築で中心的な役割を果たしていることが明らかとなった。アストロサイト貪食が特にペナンブラ漁期で認められることから、これらは脳卒中後の脳機能回復と強く関係する可能性が示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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