研究課題/領域番号 |
16H04679
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣田 泰 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40598653)
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研究分担者 |
藤田 知子 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員 (60375441)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 着床 / 子宮 / 低酸素誘導因子 / HIF / 胚浸潤 / 増殖因子 / AKT |
研究実績の概要 |
妊娠におけるHIFの機能を明らかにするために、子宮特異的HIF1α、HIF2αの遺伝子欠損マウス(各々HIF1αcKO, HIF2αcKO)を用いて解析を行った。HIF1αcKOでは、そのコントロールマウスと比較して約40 %の産仔数低下が認められたが正常新生仔が得られた。一方HIF2αcKOは産仔が得られなかった。次に不妊の表現型が強いHIF2αcKOに注目し解析を進めた。排卵、受精率、着床前の胚盤胞数は、HIF2αcKOとそのコントロールマウスで同等だった。HIF2αcKOでは胚接着の物理刺激で開始する子宮間質の細胞増殖による膨大化(脱落膜化)が肉眼的に明瞭化する時期である妊娠6日目(妊娠1日目=腟栓確認日)において、HIF2αcKOでは脱落膜化が認められ胚接着部位の数と重量は正常であったが、妊娠8日目にはHIF2αcKOの脱落膜化部位は不明瞭化した。HIF2αcKOでは子宮管腔上皮が消失し胚の栄養膜細胞の間質への浸潤が開始する時期の妊娠5日目夕において、HIF2αcKOでは胚接着部位の子宮管腔上皮の消失が認められず栄養膜細胞のアポトーシスが認められ、さらに妊娠6日目には胚の組織学的崩壊が起こっていた。レーザーマイクロダイセクションで採取した妊娠5日目夕の胚接着部位の子宮管腔上皮のマイクロアレイによりHIF2αcKOにおける増殖因子PlGFや接着因子PECAM-1の発現低下が認められ、免疫染色によりHIF2αcKOにおける胚接着部位の栄養膜細胞のpAKTの低下が認められた。以上の結果から、子宮のHIF2αcKOは、増殖因子や接着因子を介して胚盤胞活性化の指標である栄養膜細胞のPI3K-AKT経路活性化、胚生存・浸潤を誘導し、胚着床を調節していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
マウスモデルを用いた研究が順調に行われており、その成果も順調に得られている。これらの成果をさらに発展させ、次年度以降の研究の更なる進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進展し成果を上げているため、研究計画通りに進める予定とする。
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