研究課題/領域番号 |
16H04685
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
大塚 正人 東海大学, 医学部, 准教授 (90372945)
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研究分担者 |
中村 伸吾 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター 医療工学研究部門, 講師 (00505323)
幸谷 愛 東海大学, 医学部, 教授 (00517477)
角田 茂 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80345032)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ノックダウン / miRNA / 遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに、マウス受精卵への顕微注入法を介して、予め指定された遺伝子座位にDNAコンストラクトを挿入させる新規Tgマウス作製法”pronuclear injection-based targeted transgenesis (PITT) 法”を開発してきた。今回、PITT法を用いて、コンディショナルにmiRNA発現を調節するシステムを確立し、それを2つの系(遺伝子発現リカバリー法の開発と免疫機能解析への応用、および天然miRNA発現マウス作製と機能解析)に応用することを目指した。 まず、コンディショナル遺伝子発現を可能とするTgマウス作製システムの開発を進めた。我々はこれまでにPITTシステムをfloxカセットの挿入に応用した経験はなかった。floxカセットを挿入するためには、Cre-loxP系を用いた遺伝子挿入はできないことから、PhiC31系とFLP-FRT系でのPITT法による遺伝子挿入系の確立を目指した。PhiC31系単独の使用での挿入も可能であるがその効率は若干低いものであったため、FLP-FRT系との併用により挿入効率の改善を試みた。その結果、二つの系を併用することでPhiC31系単独で用いるよりも挿入効率が改善することを見出した。また、コンディショナルな遺伝子発現を可能とするためのドナーベクターを構築した。 遺伝子発現リカバリー法の開発を目指し、IFN-β遺伝子を標的遺伝子としたノックダウンを試みることとした。そこで、まず標的遺伝子に対するmiRNAを3種類設計し、培養細胞レベルの実験で最もノックダウン効果の高いmiRNA配列候補を選別した。この配列を上述のベクターにクローニングしたので、今後i-PITT法にてTgマウス作製を進める予定である。また同時に、天然miRNA発現マウス作製のためにmiR195を発現させるベクターも作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物施設にて実験動物(マウス)の食殺の問題が生じ、Tgマウス作製計画について一部進行が遅れた部分もあったが、想定範囲内であること、また当該問題が解決されつつあることから、次年度には問題なく進められるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、遺伝子発現リカバリー法の開発と免疫機能解析への応用、および天然miRNA発現マウス作製と機能解析を目指し、IFN-β遺伝子ノックダウンマウス作製、およびコンディショナルmiR195発現マウス作製を、i-PITT法を用いて行う(2016年度に設定したPhiC31系とFLP-FRT系を同時に使用する条件にて)。作製されたTgマウスについては、Creによるコンディショナル発現系が期待通りに働くことの確認、および目的miRNAとターゲット遺伝子の発現について調べる。 また、既知遺伝子イントロン領域に人工miRNAを挿入することによる新規遺伝子発現調節法の開発と遺伝子治療への応用を目指し、内在性遺伝子イントロンへの人工miRNA挿入によるインスリン抵抗性関連遺伝子の抑制を目的とした実験を進める。我々の論文(Miuraら, PLoS One 2015)に基づき標的遺伝子に対するmiRNAを設計し、培養細胞を用いてノックダウン効果の高いmiRNA配列を選別する。また、本コンセプトが個体レベルで期待通りに動くことを検証する目的で、Albumin1のイントロン領域にインスリン抵抗性に関与する遺伝子を標的遺伝子としたmiRNA配列を挿入したKIマウス系統を作出し、インスリン抵抗性の改善の有無を調べる。
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